デュープリズム シナリオ



 フロッピーディスクを整理していたら見つけました。
 何とゲームを遊びながら書き写していったというアホなブツ。
 全部コピーするつもりでしたが、途中で飽きたようです。


(ミント編)

(オープニング・ぼうけんのはじまり)

 廊下を走るミント。扉が開き、現われたミント喜ぶ。

ミント
「おおっ 
 今夜の晩ゴハンも豪勢ね〜 」
じいや
「姫さま! まだ、したくができておりませぬ」

 ミントに歩み寄るじいや。

じいや
「準備がととのうまでお部屋でお待ちくだされ!」
ミント
「だってさ〜、城じゅうにいいニオイがするんだもん。
 ガマンできるほうがおかしーわ!」

 料理の方を向くミント。

ミント
「は〜……見てるだけでヨダレが出ちゃうわね〜」

 袖で口をぬぐうミント。

じいや
「つまみ食いなどなさらぬように!」

 つまみ食いをするミント。

ミント
「んー、んまいっ 」
じいや
「な、なんたる手のはやさ……。
 姫さま、おぎょうぎが悪うございますぞ!」
ミント
「かたいこと言うんじゃないわよ。
 どーせ後で食べるんだから、今、つまみ食いしたって同じ同じ 」

 走りだすミント。

じいや
「お待ちくだされ、姫さま!」
ミント
「他のも食べちゃおっと 
 どれにしようかな〜 」

(操作パート。ひとしきりつまみ食い)

(以下台詞)

ミント
「これは…………。
 げげっ!? カボチャぁ!?
 あたしがカボチャがキライなのを知ってるくせに!
 シェフのやつ……クビね!」
「見た目もニオイも不気味ね………」(カボチャチェック二度目)
「これは……珍味!
 いいおつまみになりそうね〜!」
「今夜のスープは、なかなかのヒットね。
 舌にとろけるよーな、まろやかで、豊潤な味わい……ああ、シアワセ……」
「おおっ、こんがりキツネ色!
 おいしそーに焼けてるじゃない 」
「むむ……。
 シェフのやつ、腕をあげたわね!!」
「中身はなにかな〜 
 後のおたのしみにしとこっと」
「これは食べっちゃったから、他のを味見しよっと」(料理二度目以降チェック時)

じいや
「食事の時間まだでしんぼうなさってくだされ!」

(つまみ食いした後、操作シーン終わり)

ミント
「うまい料理にかこまれて、ああ、シアワセ……。
 この世に生きるヨロコビってきっとこーいうコトなのね〜」

 玉座に勝手に座るミント。止めるじいや。

じいや
「そ、それは国王陛下の座るイスですぞ!
 姫さまの席は、そこではございません!」
ミント
「いーのいーの。今はオヤジのイスだけど、いつか、あたしのモノになるんだしさ」
じいや
「たしかに姫さまは、いずれわが東天王国の女王となられるお方。
 ですが……」
ミント
「じゃあ、あたしがこのイスに座ってもいいじゃな〜い」


「お姉さまっ!!」

 ミントとじいや、扉の方を向く。

ミント
「お?」

 マヤとドールマスター登場。

ミント
「どーしたの、マヤ?
 ドールマスターなんか連れちゃってさ」
マヤ
「どうしたもこうしたもありませんっ!
 お姉さまに、大事なお話がありますっ!」
ミント
「お話? そんなことより先に食事よ、食事!」

 マヤ頭痛ポーズ。

マヤ
「なんと身勝手な……!
 お姉さまは、ご自分の立場をわかってらっしゃるのですか?」
ミント
「あたしの立場、ですって?」

 ミント、イスから立ち上がり、

ミント
「わかってるに決まってるでしょ!
 あたしは、あんたの姉で、東天王国の第一王女!
 ゆくゆくは、この国を支配する女王になる超・重要人物ね!」

 ミント、髪かきあげる。

ミント
「わかりやすく説明してあげるわ!
 よーするにっ!
 このミント様は、あんたなんかよりぜんっぜんエラくてウツクしくてカッコイイってわけ!!
 わかった?
 あたしは、未来の女王さまなのよっ!」
マヤ
「それは昨日までの話ですわ!」
ミント
「へ?」

 ドールマスター、ミントに歩み寄る。

ドールマスター
「先ほど、王国最高会議が開かれましてな。ミント殿下の王位継承権の無効が満場一致で決定されました」
ミント
「は?
 そ、それって……どーいう意味かな〜?」
ドールマスター
「つまりミント殿下は、女王になる資格を失ったということです。
 次期女王として即位されるのはミント殿下ではなくマヤ殿下となります」
マヤ
「お姉さまは、女王失格ということですわ!」
ミント
「な……。
 な……」

 凍り付くミント。

ミント
「なぬー!?!?」

 ドールマスターに詰め寄るミント。

ミント
「どどどどどどどどどど、どーしてよ!?
 なんであたしが女王失格なの!?
 そんなの、どこのどいつが決めたのよ!」
ドールマスター
「ですから、王国最高会議です。
 もちろん国王陛下も賛成されております」

 床にへたり込むミント。

ミント
「オヤジまで、そんな……。
 ううっ……ひどい! ひどすぎるわ!!」
マヤ
「なにをおっしゃいます!!」

 立ち上がるミント。マヤ、ミントに詰め寄り、ミント後ずさる。

マヤ
「魔法の勉強はサボってばかり!
 夜ふかし、朝寝坊は日常茶飯事!
 国のお金でムダづかい!
 嫌いな食べ物は残すくせに好きな食べ物は5人前!
 そんなわがまま勝手なお姉さまが、わが歴史ある東天王国を統治できるとお思いですか?」
ミント
「それは、なるよーにしかならないんじゃ……」
マヤ
「そのような投げやりな態度では東天王国は崩壊します!!」
ドールマスター
「ミント殿下が女王となれば、わが国は半年でつぶれるでしょうな」
じいや
「たしかに……」
ミント
「じ、じいまでそんなコト言うの!?」
マヤ
「納得していただけましたか。
 次の女王となるのは、お姉さまではなく、このわたくしです。
 これからは、ビシビシ厳しくやらせていただきます。
 よろしいですね?」

 マヤに指を突き付けるミント。バック集中線。

ミント
「よろしいワケあるかぁ!
 こーなったら、力ずくでどーにかしてやるわ!」

 マヤを越えてジャンプするミント。

ミント
「マヤ! あんたなんかあたしの魔法でボコボコよ!
 女王の座は、渡さないからね!」

 ミント、魔法発動ポーズ。マヤ、余裕の表情。

マヤ
「あら……わたくしと戦うおつもりですか?」

 マヤ、ブックをかまえる。

ミント
「げげっ!
 それは……ブック・オブ・コスモス!?」
マヤ
「そう、わが国に伝わるエイオンの【遺産】、
 その名もブック・オブ・コスモス!!
 大賢人アタナシウスがつくった最強の魔宝に、お姉さまの自己流魔法がかなうはずもありませんわ!」

 魔法を収めるミントとマヤ。ミント、マヤに指を突き付ける。

ミント
「【遺産】の力を借りるなんて、あんた卑怯よ!!」
マヤ
「なんとでもおっしゃい。
 ほら、ブックにはこ〜んなこともできますのよ」

 カボチャが降ってきてミントの頭に命中。ミント倒れる。

ミント
「げふっ!?」

 起き上がったミント、口に手を当て後ずさる。
 
ミント
「こっ、これは……!
 かっ、かかかかカボチャあ!?」
マヤ
「そう、お姉さまが大大大っキライなカボチャですわ!!
 食事のとき、いつも残していましたね。ですが、今後そのようなわがままはいっさい許しません。
 お姉さまが、きちんとカボチャを食べるようになるまで、朝昼夕食デザートはずーっとカボチャづくしですわ!」
ミント
「そ、それだけはっ!?」

 カメラ引き、フォント拡大。

ミント
「それだけはイヤっ!!」
マヤ
「…………」

 ミント、手をぱたぱたと振る。

ミント
「ほら、あたしたち姉妹じゃない……?
 ね? ね?」

 マヤ、ミントに歩み寄り指示ポーズ。

マヤ
「ダメですっ!!
 やっておしまいなさいっ!」

 カボチャがミントに襲いかかる。ミント、扉から走り去る。

ミント
「マヤっ!
 おぼえておきなさいよ〜!!」

(暗転)


(ミントのモノローグ)

 うぐぐ……おのれ!
 なんであたしがこんな目に!
 あたしも【遺産】を持ってたら、マヤなんかに負けないのに!
 こーなったら、とことんまでやってやるわ!
 あたしも【遺産】を手に入れてマヤをボコボコにしてやる!
 マヤから王国を取り戻したら
 その次は……
 世界を征服してやるわ!

(場面、船上に切り替わる)

 膝に手をつくミント。

ミント
「ふう……。
 家出してから、もう2年か……。
 【遺産】なんて、すぐに見つかると思ったけど……甘かったわね〜」

 ミント、ガッツポーズ。

ミント
「でも、あたしは負けないわよ!
 なにがなんでも【遺産】を手に入れて夢はでっかく世界征服っ!」

 半目になるミント。

ミント
「ふっふっふっふっふ……。
 見てなさいよ、マヤ!」

 カメラ、ゴロツキ兄弟に切り替わる。


「ウヒョ?
 ブラッドのアニキ〜、あの女、ヘンっスよ!」
ブラッド
「かかわりあいになるなよ、スモーキー。
 俺たちには、やるべきコトがあるからな」
スモーキー
「さすがアニキっス!
 サイフの中身はカラッポでも、野望は大きいっス!」ブラッド
「よけいなお世話だぜ、スモーキー!
 よし! 船がカローナの街についたらさっそく仕事だ!
 なるべく弱そうなヤツをおどして晩メシの金をいただくぜ!」
スモーキー
「ウヒョ〜! マジで!?」
ブラッド
「オウ、マジでマジで!」
スモーキー
「やっぱりアニキは極悪っス〜!」
ブラッド
「今までイモばかり食ってたが、久々に肉を食えるぜ!」

 スモーキー、振り向く。

スモーキー
「ウヒョ?」

 スモーキー、海の方へ歩く。

スモーキー
「アニキ、なんかヘンなモンが近づいてくるっスよ?」
ブラッド
「あーん?」

 ブラッドも海を覗き込む。

ブラッド
「なんだぁ、あの赤いのは」
スモーキー
「ヤバイっス!
 こっちに来るっスよ!?」

 カメラ、ミントへ。次第にエンジン音が高まる。

ミント
「ホントに世界を征服したら最初はナニをしよーかな〜。
 とりあえず、マヤのやつにはトイレ掃除でもさせよっっと 
 それとも……うーん……」

 何かにぶつかり、海に落ちるミント。

(場面、港へ)

 ミント、海から拾われて座り込んでいる。

ミント
「し、死ぬかと思った……」

「あんたは運がいい。おれの船が通らなかったら今ごろ魚のエサだぞ」

 立ち上がるミント。すぐに息切れポーズに。

ミント
「ありがと……え〜と……」

デービス
「おれはデービス。この船着き場の管理人だ。船から落ちた人を助けるのも仕事のうちさ。
 そんなドジな客はめったにいないがね。
 なにはともあれ、無事でよかった」
ミント
「うぐ……これからは注意するわ……」
デービス
「もうひとつ、気をつけたほうがいいことがある。
 最近、この街にはよそものが増えた。
 中には、ぶっそうなやつがいるかもしれん。用心しな」

 ミント、立ちポーズへ。

ミント
「だいじょーぶ。ヘンなやつが出てきたらあたしの魔法でボコボコにしてやるわ」
デービス
「威勢がいい娘さんだ。
 元気でな」

 手を振るミント。

ミント
「じゃあね!」

 ミント、港の出口に走る。

ミント
「よそものが増えてるのか……。
 あたしと同じよーに、【遺産】を探しに来たのかもしれないわね。
 先を越されないよーに、急がなきゃ!」

 ブラッドに突き飛ばされてコケるミント。

ブラッド
「どけどけ」
ミント
「うぎゃ!」
スモーキー
「ブラッドのアニキを邪魔したおまえが悪いっス!ウヒョヒョ!」
ブラッド
「こら、スモーキー!
 ちんたらしてるヒマはねえぞ!」
スモーキー
「ウヒョ!?
 スンマセン……」
ブラッド
「さっさと森に行くぜ!
 今夜の晩メシのためにな!」

 転がってるミント。
  
ミント
「うぐぐぐ……」

 ミント、立ち上がる。

ミント
「このミント様を突き飛ばすとはあの兄弟、いい度胸ね!
 次に会ったら地獄めぐりをさせてやるわ!」


(操作シーンに切り替え)

 ミント、カローナの街に入る。

(場面、街へ)

ミント
「へ〜……ここがカローナの街か。
 牧歌的というか、のどかというか……。
 はっきり言って、イナカね。
 さっきのゴロツキどもは、『森に行く』って言ってたわね。
 すぐ追っかけたら、追いつけるかな?」

(ぼうけんのはじまり 終わり)


 デュープリズム・シナリオ

(めざせ! せかいせいふく)

(カローナの街、操作パート)

(カローナの森→遺跡)


「ウヒョ〜!」

 声を聞いて、派手にコケるミント。

 ミント起き上がる。ゴロツキ兄弟に少女が襲われている。

少女
「は、はなしてください〜」
ブラッド
「そんなに暴れるなよ、おじょうちゃん。
 俺たちゃ別に、あんたを取って食おうと思ってるわけじゃないんだ。
 ただ、チョイとばかりビンボーでなあ。助けてもらいてえのさ」
スモーキー
「今夜の晩メシ代もねえっス!
 ウヒョヒョ!」

 岩陰から様子をうかがうミント。

ミント
「あいつら、さっきの……。
 ふっ、さっきのウラミ、さっそく晴らしてやるわ!」

 カメラ、ゴロツキたちへ。

ブラッド
「そーいうわけで、だ。
 恵まれねえ俺たちに寄付してくれねえか?」

 振り向くスモーキー。

スモーキー
「あ、あ、アニキアニキっ!?
 あれ、あれっ!」
ブラッド
「ああン? なんでえスモーキー。
 おかしな声出しやがって。
 なんかヘンなものでも……」

 劇的なカメラアングルでミント、ブラッドに跳び蹴り。ブラッド倒れる。

ブラッド
「んげぁあ!?」
スモーキー
「あ、アニキ〜!? しっかりするッス!!」

 起き上がるブラッド。

ブラッド
「てっ……テメエ!
 いきなりナニしやがるんでえ!」

 ミント、もう一度跳び蹴り。

ミント
「知るかっ!!」
 
 倒れるブラッド。

ブラッド
「ぼ、暴力反対……」
ミント
「なーにが暴力反対よ。
 かよわい乙女を突き飛ばしてドロまみれにしたクセにさ!
 このウラミは10倍にして返してやるから、覚悟しなさい!」

 勢いよく起き上がるブラッド。

ブラッド
「ケッ! 勝手なこと言いやがって!
 こちとらテメエみてえな小娘とケンカしてるほどヒマじゃねえんだ!
 スモーキー、娘をつかまえな!!
 人質にするぜ!」
スモーキー
「アニキぃ〜!」
ブラッド
「どうしたスモーキー!」
スモーキー
「逃げられたッス……」

 逃げる少女。

ブラッド
「あ……ら?」
ミント
「ん〜、人質がどーかしたのかしら!?」

 剣を振り回すブラッド。

ブラッド
「だーっ!! うるせえうるせえ!
 こうなったらバトルするだけだ!! いくぞスモーキー!」
スモーキー
「ウヒョ〜!!」


(戦闘→ブラッドを先に倒した場合)

ブラッド
「ぐおっ……! コイツやるな……。
 チクショウ、今日のところはずらかるぜ!」

 逃げ出すゴロツキ兄弟。

スモーキー
「えっ!? ウヒョヒョ!?
 アニキ〜、待ってくれっス〜」

 ゴロツキ兄弟、いなくなる。

(戦闘→スモーキーを先に倒した場合)

スモーキー
「ウヒウヒェロヘロ……。
 アニキ、もうダメっす。
 カタキをうってくれっス……」

 倒れているスモーキー。

ミント
「さ〜て、残るはあんた一人よ?」
ブラッド
「むうう……。
 ムッ! うおっ!?」

 胸を押さえるブラッド。

ブラッド
「いかん、こんな時に持病が……。
 これでは戦えねえぜ!
 俺が元気なら、テメエなんて5秒でぶっつぶしてやるんだが……。
 今日はこれ以上戦うわけにはいかねえ!
 というわけで、この場は見逃してやらあ!
 ありがたく思えよ!」

 逃げ出すゴロツキ兄弟。

スモーキー
「えっ!? ウヒョヒョ!?
 アニキ〜、待ってくれっス〜」

 ゴロツキ兄弟、いなくなる。

(戦闘終了)


ミント
「ざっとこんなもんね。
 あ〜、スッキリした」

 少女、ミントに駆け寄る。そのままお辞儀。

少女
「助けてくれて、ありがとうございましたっ!」
ミント
「え? あ〜、いーのよいーのよ。
 べつにあんたを助けよーとしたわけじゃないからさ」
少女
「でも、おねえさんのおかげでたすかったわけだし……。
 よかったら、お名前を教えてもらえますか?」
ミント
「あたしの名前はミント。
 かたくるしーのキライだから、テキトーに呼んでいーよ。
 『カワイクてカッコいいミント様』とか、
 『バラのよーに美しいミント様』ってね。
 めんどくさかったら『ミント様』だけでも気にしないから」

 少女、胸に手を当てる。

少女
「はい、ミントさん 」

 ミント、あさっての方を向いて、

ミント
(……人の話を聞いてないわね)
少女
「じゃあ、わたしも自己紹介しますね。
 はじめまして、ミントさん。
 わたし、エレナっていいます」
ミント
「ふ〜ん……。
 あんたみたいなフツーの子が、どーしてひとりで、こんな森にいるの?」
エレナ
「実は……お父さんとお母さんをさがしに来たんです。
 この森のどこかにいるはずなんですけど、もう5日も帰ってこないんです。
 それでわたし、心配になって……」

 エレナ、驚きポーズ。

エレナ
「あ〜っ!!
 そーです! 
 こんなことしてるヒマないんですっ!
 早くお父さんとお母さんを探さないと!
 ミントさん、助けてくれてありがとうございました!」

 エレナ、お辞儀をして走り去ろうとするがミントが呼び止める。

ミント
「スト〜ップ!!」

 ミント、エレナに走り寄る。

ミント
「もひとつ質問なんだけどさ。
 あんたの親は、どーしてこんな森に?」
エレナ
「うちのお父さんって、遺跡を調べるのがシュミなんです。
 よくわかんないですけど、【遺産】って宝物をさがしてるみたいですよ」
ミント
「【遺産】!?
 それホント!?」
エレナ
「はい 」

 ミント後ろを向く。

ミント
「ナイス・チャ〜ンス 
 よーするに、この子の親を見つけたら、【遺産】の情報をばっちりゲットできるわ 」

 ミント、エレナに向き直る。

ミント
「エレナ……あたし、感動したわ!」
エレナ
「へ???」
ミント
「自分の身を危険にさらしてまで両親を助けようとする、愛……。
 あんたの美しい気持ちをあたしも応援したくなったわ!
 いっしょにご両親をさがそ!」

 エレナ、小さくお辞儀。

エレナ
「ありがとうございますっ!
 それじゃ、行きましょうっ!
 ミントさん、ついて来てくださいっ!」

 エレナ、走り去る。ミント、半目になる。

(暗転)


(カローナの森、操作パート)

(以下エレナの台詞)

「たぶん、こっちだと思います。
 遅れないようについてきて下さいね」
「さぁ、先を急ぎましょ〜」

(操作パート終わり)


(場面、山頂へ)

エレナ
「あっ、お父さん、お母さん!」
エレナの母
「あら、エレナ!?」

 エレナの父が座り込んでいる。

エレナの父
「こんな森の奥まで来るなんて、どうしたんだい?」
エレナ
「『どうしたんだ』じゃないでしょ!
 お父さんたちがずっと帰ってこないから、わたし、すごく心配したのよ!」

 エレナ、驚く。

エレナ
「お父さん!? その足どうしたの!?
 ケガしてるよ!?」
エレナの父
「ああ、これかい?
 少しくじいただけさ。
 たいしたケガじゃないよ」

 エレナ、座り込む。

エレナ
「よかった……」
エレナの父
「心配させてしまったね。ごめんよ、エレナ。
 ついつい調査に夢中になってしまってね。
 それにしても、ひとりで森に来るなんて、いささか無茶がすぎるぞ」
エレナ
「ひとりじゃないよ。
 ね、ミントさん 」

 ミント、親子のところに歩く。

エレナの父
「君は……?」
エレナ
「この人がミントさんよ。
 ミントさんは、ヘンな人にからまれてたわたしを助けてくれたの。
 それに、お父さんとお母さんをさがすお手伝いもしてくれたのよ!」
エレナの父
「そうか……。
 ありがとう、ミント君。 
 君はエレナの命の恩人だ」
ミント
「いや〜、それほどでも 」
エレナの父
「そうそう、自己紹介がまだだったね。
 私はクラウス。カローナの街で小さな店を開いているんだ。
 こっちは家内のミラだ」
ミラ
「はじめまして、ミントちゃん。
 エレナがいろいろお世話になったみたいね」
ミント
「ところで……クラウスさんに聞きたいことがあるんだけど」
クラウス
「なにかね?
 【遺産】のことかい?」

 びっくりするミント。

ミント
「なぬ!?
 なんでわかったの!?」
クラウス
「ついさっき、彼にも【遺産】のことを聞かれたからね。
 ミント君も、もしかしたらと思ったのさ」
ミント
「彼?」

 ルウ登場。

エレナ
「お父さん、あの人だれ?」
クラウス
「紹介しよう、ルウ君だ」

 ルウに注目が集まり、ルウ会釈する。

 ミント、後ろを向いて、

ミント
(なんか暗そーなヤツね)
ミラ
「エレナたちが来る少し前に会ったのよ。
 ルウ君も、【遺産】を探してるんですって」
ミント
(ってことは、あたしのライバル!?)

 ミント、ルウを見る。

クラウス
「さて……。
 【遺産】の話をしようか。
 私は昔から【遺産】をさがしていてね。
 古文書を読んだり、遺跡を調べたりとずいぶん苦労したよ」
ミラ
「仕事を放り出して、ね」
クラウス
「あー……ゴホン。
 まあその、いろいろ大変だったわけだが、むだな苦労ではなかったよ。
 長い研究のすえ、私は【遺産】の謎をとくヒントに気づいたんだ。
 アトリエさ。あそこに行けば新しい真実が見つかるかもしれない、とね」
ミント
「アトリエって、魔法使いの館のことでしょ」
ミラ
「ええ、そうよ。
 100年ほど前まで、この森にはある魔法使いが住んでいたらしいの」
クラウス
「その魔法使いは【遺産】について研究していたらしいんだよ。
 彼のアトリエに行けば【遺産】の手がかりぐらいは見つかるかもしれないだろう?」
ミント
「どこどこどこどこどこ!?
 ここにあるの!? そのアトリエは!?」
クラウス
「うーん……それがね……」
ミント
「じゃあ、まだ見つけてないの?」
ミラ
「そうねえ……。
 ミントちゃん、ちょっと来てちょうだい」

 ミント、エレナ、ミラが崖を覗き込む。

エレナ
「ひゃ〜!
 すごい崖」
ミラ
「言い伝えでは、この崖の下に不思議な広場があるんですって。
 その広場に、アトリエへの道がかくされているらしいわ」
クラウス
「ところが、ごらんのとおりの急崖で、先に進めないんだ。
 君が来る前に、降りる道をさがそうとしたんだが、足をふみはずしてくじいてしまった」

 ミント、さらに崖のへりに近づく。

ミント
「うひ〜、ムチャな崖ね〜。
 だけど、この下には……!!」
ルウ
「クラウスさん、ここは僕が……」
エレナ
「きゃ〜〜〜〜!?
 み、ミントさんっ!?」

 ルウとクラウス、エレナの方を見る。

 飛び降りるミント。

ミント
「それじゃ、お先にっ!」
ルウ
「ムチャな人だなあ……」
クラウス
「だいじょうぶかな。この崖にはモンスターが住みついているらしいが……」

 ルウとクラウスの方に歩くミラ。

ミラ
「元気があっていいじゃない。
 でも、エレナはマネしちゃダメよ」

 エレナ、胸に手を当て、

エレナ
「は〜い 」

(暗転)


(操作パート。場面、崖下り)

(降りていくと、ガーゴイルの謎掛けの場面へ)

(仕掛けを解くと、階段出現)

(階段を登ると、場面、アトリエ外周へ)

(操作パート終了)


 ミント、階段を登る。息切れ状態。

ミント
「さんぜんさんびゃくよんじゅうに……。
 さんぜんさんびゃくよんじゅうさん……。
 さんぜんさんびゃくよんじゅうよん……。
 さ、3345段っ……。
 ひーっ、やーっと付いたあ〜!
 ったく、なんなのよこの階段は!?」

 ミント、息切れから立直る。

ミント
「これがアトリエかあ……。
 想像してたよりショボイわね。
 ホントにお宝があるのかな?」

 扉に近づくと、ガーディアン『ナイトメア』出現。

 ガーディアンに吹っ飛ばされて倒れるミント。

ミント
「うひゃあ!?」

 ミント、起き上がって、

ミント
「アトリエの番犬……じゃなくて番馬!?
 どっちでもいーわ!
 邪魔をするならボコボコにするだけよっ!」

 いきりたつガーディアン。ミントかわす。


(操作パート)

(ガーディアンとバトル)

(勝利後、操作パート終了)


 ミント勝利ポーズ。

ミント
「けっこう手強かったけど、あたしにかなうレベルじゃないわね。
 さ〜て、お宝お宝 」

 アトリエ内部へ。

 金庫を調べ、イベント開始。

ミント
「この金庫、ロコツにあやしーわね」

 ミント、金庫をいじるが開かない。

ミント
「おっかしーな〜。
 開かないわ」

 ミント、リングを振り回す。

ミント
「この!
 この!」

 さらに助走をつけて、

ミント
「とりゃー!!」

 跳び蹴り。でも開かない。

ミント
「金庫のくせにナマイキな……!」

「どれどれ、ちょっと見せてみなさい」

 クラウス登場。

ミント
「クラウスさん!」
クラウス
「やっと追いついたよ」
ミント
「足にケガしてたんじゃないの?
 あんな階段、よくのぼってこれたわね」
クラウス
「なにを言っているんだい。
 さがしもとめたアトリエがすぐ目の前にあるんだよ。
 痛みなんか、あっという間にふっとんでしまったよ」
ミント
(見かけによらずパワフルね……)

 クラウス、開錠を試みる。

クラウス
「どこかにしかけがあるんじゃないかな。
 おっ、このスイッチがあやしいぞ……」

 クラウス、金庫を開く。

ミント
(なんか、ショボそーなお宝ね……)
クラウス
「ずいぶん古い言葉で書かれているな」

 ミント、喜びながら、

ミント
「見せて見せて!」

 ミント、金庫に近づく。

ミント
「…………。
 ううう、ぜんっぜん読めない……。
 古代語の勉強、サボるんじゃなかった……」
クラウス
「まかせなさい。
 古文書の解読は私の専門分野だよ。
 ふむふむ…………。
 ムムッ! ほほう! なんとぉ!
 そんな……神よ! これは真実なのか!?」
ミント
 なななななになに! なに書いてあんの?
 そんなスゴイ本なの!?」
クラウス
「いや、ただの日記だよ」

 ミント、がっくりポーズ。

クラウス
「はっはっは、ひっかかたね」

 ミント、悪態をつく。

ミント
「こ、このオッサン……」
クラウス
「これは、このアトリエにいた魔法使いの日記だね。
 彼の研究の内容が、細かく記録してあるよ。
 彼は【遺産】をつくった者たちのことを研究してたらしい」
ミント
「【遺産】をつくった者たち……。
 エイオンたちのことね。
 はるか古代の世界を、魔力によって支配した、伝説の魔導士たち。
 でも、とっくの昔に滅びちゃったんだよね。
 天地をゆるがし、星の動きをも変えるほどスゴイ魔力があったのに、どーして滅びたのかな?」
クラウス
「大災害があったとか、エイオン同士が争ったとか、さまざまな説があるが……。
 ほんとうのところはだれにもわからないね。
 彼らは栄え、そして消えていった。
 わかっているのはそれだけだ。
 けれどエイオンたちがつくり出したいくつかのアイテムだけは、時を越えて生き残っている」
ミント
「それが【遺産】ってわけでしょ」
クラウス
「ほほう、なかなか勉強しているじゃないか」
ミント
(そりゃ知ってるわよ。
 マヤのブック・オブ・コスモスだってエイオンの【遺産】なんだから)
クラウス
「【遺産】の力は強大だ。強い【遺産】を見つければ、どんな願いもかなうだろう。
 そういえば、ミント君は、どうして【遺産】を探しているのかね?」

 ミント戸惑いポーズ。

ミント
「え?
 えーっと……そっ、それは……」
クラウス
「まさか、【遺産】の力で世界征服なんて考えているのかな?」

 ミントびっくりポーズ。

ミント
(なぬー!? また見抜かれた!
 この人、やっぱりスルドイ!?」

 ミラ登場。

ミラ
「はいはい、あなたたち。おしゃべりはそれぐらいにしておきなさいな。
 そろそろ日が暮れてしまうわ。
 帰りじたくを始めたほうがいいんじゃないかしら」
クラウス
「そうだな……。
 めぼしい資料を集めて街まで運ぼう。
 ミラ、外のルウ君を呼んで来てくれ。
 それとミント君、すまないが君も荷物運びを手伝ってくれないかね?」
ミント
「ええっ!?
 なんであたしが?」
クラウス
「さっきの日記には【遺産】の謎をとく情報が書いてあったんだがね。
 ちゃんと手伝ってくれたらあとでくわしい話をしてあげようと思ってたのになぁ……」
ミント
「うっ……。わかったわよ!
 手伝うわ! 手伝えばいいんでしょ!」
クラウス
「本当かい? そいつは助かるなあ。
 それでは、ここにある本をまとめて運んでもらえるかい?」

 ミント、しぶしぶと、

ミント
「へ〜い……」

(暗転)


(場面、街へ。宿屋の前で)

ミラ
「では、カーサさん。
 ミントちゃんをよろしくおねがいしますね」
カーサ
「これからは、この宿屋を自分の部屋だと思ってくつろいでおくれ」
ミント
「タダで泊まっちゃっていーの?」
ミラ
「いいのよ。ミントちゃんにはいろいろお世話になったんだから。
 エレナを助けてくれたし、うちの人の道楽も手伝ってもらったし、お返しするのは当然よ」

 ミント、喜びつつ、

ミント
「そっか……。
 じゃ、お言葉に甘えちゃうわ 」
ミラ
「そうしてちょうだい」

 ミラ、ミントに向き直り、

ミラ
「そうそう、大事なことを忘れてたわ。
 うちの人、ミントちゃんに話があるみたい。
 アトリエで見つけた資料を調べて、なにかわかったんじゃないかしら。
 落ちついたら、うちにいらっしゃい」

(暗転)


(操作パート)

(ロッドとの会話・初)


「帰りな、ベイビー。
 ここは女子供の遊び場じゃねぇ。
 男と男が、熱きソウルをぶつけるバトルフィールドだ」
ミント
「……あんた、なんなの?」

「フッ……! 知りたいか。
 ならば教えてやるぜ!」

 男、立ち上がる。


「ある時は、さすらいの武器職人!
 またある時は、天下無敵の剣士!」

 男、腕を振り回し、


「ロッド・ザ・ブレードスターとはオレ様のことよ!!」

 カメラ、犬をアップに。

ロッド
「そしてこいつの名はジョニー・ウルフ」

 ジョニーが鳴きながら、

ロッド
「オレ様のベストフレンドだ」
ミント
「武器職人で剣士?
 本職はどっちなのよ」
ロッド
「どちらとも言えねぇな。
 自分でクリエイトした武器の性能をたしかめたくて、オレ様はバトルする。
 グレートなライバルとバトルしてぇから、オレ様は武器をクリエイトする。
 両方とも、オレ様のソウルが燃えるのさ。ひとつに絞る気はねぇな」
ミント
「ふ〜ん……おもしろそーね。
 ねえねえ、あんたがつくった武器ってやつを、あたしにも見せてよ!」
ロッド
「ノンノン、そうはいかねぇぜ。
 オレ様が武器を出すのはバトルの時だけだぜ、ベイビー」
ミント
「ちっ、ケチ!
 じゃあ、あんたと勝負するなら見せてくれるの?」
ロッド
「勝負だぁ? 笑わせねぇでくれ。
 おめぇみたいなベイビーとバトルしてもオレ様のソウルは燃えねぇぜ。
 弱いものいじめの趣味はねぇんだ。
 わかったらホームに帰りな、ベイビー」
ミント
「あっそ」

 ミント、帰ると見せかけて跳び蹴り。

ミント
「とりゃー!!」
ロッド
「ぐわっ!?」

 ロッド倒れる。ジョニーがロッドのそばで吠える。

ミント
「このあたしが『弱いもの』だなんてあんたの目ってフシ穴ね!」

 ロッド跳ね起きて、

ロッド
「きいたぜ、今のキックはよ……。
 やるじゃねえか、ベイビー。
 キュートな顔に似合わず、ナイスなソウルを持ってるみてぇだな。
 オレ様のアームがうずいてきたぜ……」
ミント
「気安くベイビーなんて呼ばないでよ。
 あたしにはミントって名前があるんだから」
ロッド
「ミントか……グッドネームじゃねぇか。
 OK! レッツ・バトルだぜ、ミント!
 おめぇの熱いソウルを見せてもらうぜ!!
 と、その前に。」
ミント
「へ?」
ロッド
「バトルの前に、ファイトマネーとして100Gを払ってもらおうか」
ミント
「なぬ!? なんでお金がいるのよ!!」
ロッド
「そういうルールなのさ。
 そのかわり、おめぇが勝ったら、賞金として1000Gくれてやるぜ」
ミント
「ほ、ホント!?」
ロッド
「金を賭けた方が、おたがい真剣にバトルできるじゃねえか。つまり……。
 ソウルが燃えるってもんよ!
 さあミント、どうする?」

(選択肢→やめておく)

ミント
「や〜めた、っと。
 わざわざお金を払ってまでバトルなんてしたくないわ」
ロッド
「そうか……それなら、しかたねぇな。
 残念だぜ。おめぇとなら、熱いバトルができそうだったが……」
ミント
「気が変わったら、また来るかもしれないわ」
ロッド
「おう! 待ってるぜ、ミント!」

(選択肢→払ってバトル)

ミント
「だったら払ってやろーじゃない。
 望みどおりバトルしてあげるわ!」
ロッド
「OK! たしかに100Gいただいた。
 レッツ・バトルだぜ、ミント!」

 向かい合うふたり。

「見せてやるぜ、ミント! このオレ様が精魂こめてクリエイトした武器をな……」

 武器をかまえたロッドがアップになり、

ロッド
「その名もシルバーブリーズッ!」
ミント
「タダの剣じゃない」
ロッド
「フッ……そいつはどうかな?
 バトルでたしかめてみなッ!」

(戦闘→勝利)

ミント
「ざっとこんなもんよ 」
ロッド
「やるじゃねえか。
 いいバトルができて楽しかったぜ……。
 約束の1000Gだ。うまいフードでも食いな」

 1000Gをゲット。

ミント
「ありがと〜 」
ロッド
「またバトルしたくなったら来てくれ。
 いつでも相手してやろう」

(戦闘→敗北)

 ミントへたりこむ。

ミント
「うぐぐぐ……。
 あたしが負けるなんて……」
ロッド
「ナイスファイトだったが、まだ修業がたりねえな」

 ミント起き上がる。

ミント
「もう一回! もう一回バトルしよ!」
ロッド
「かまわねぇが、ファイトマネーを100G払ってもらうぜ」
ミント
「うぐ!?」
ロッド
「あせる必要はねぇ。
 オレ様はしばらくこのタウンにいるつもりだ。
 きたえなおして、またチャレンジするんだな。
 ネクストチャンスにトライアゲインだぜ、ミント!」
 ミント
「次に戦うときはボコボコにしてやるわ!」

(ロッドとの初会話、終了)

(クラウス宅へ)

(以下ミラの台詞)

「宿代のことはきにしないでちょうだい。
 エレナを助けてもらったんですもの。
 これくらいは当然よ」
「一度、宿屋へ行ってお部屋を見てきたらどうかしら」
「いろいろ手伝ってもらっちゃってすまないわね、ミントちゃん」

(クラウスの部屋へ。操作パート終了)


 ミント、階段を降りてくる。

クラウス
「やあ、ミント君。待っていたよ」
ミント
「話ってなに?」
クラウス
「アトリエから持ち帰った資料をざっと調べてみたんだ」
ミント
「【遺産】のありかがわかったのね!?」
クラウス
「ははは、さすがにそこまでつごうよくいかないな。
 だが……それに近い情報が手に入ったぞ。
 あのアトリエの魔法使いも【遺産】を探していたんだ。
 ほら、ここに書かれている。
 『長い歳月を費やし、我はエイオンの【遺産】を探しもとめてきた』とね。
 続きを読もう。
 『エイオンの【遺産】には強力無比な封印がほどこされている。我が魔力だけでは、封印を解除できぬ』」
ミント
「封印!?
 なにそれ!?」
クラウス
「【遺産】をのこしたえいおんは、誰かに【遺産】を奪われることを恐れた。そこで封印をほどこして【遺産】を守った。
 そんなところだろう」
ミント
「ケチくさいことするわね〜。
 よーするに、その封印をブッこわさないと【遺産】は手に入らないってことでしょ」
クラウス
「封印を破るのは難しそうだ。
 なにせエイオンの手による封印だからね。
 おそらくは相当に強力な封印ではないかな。
 アトリエの魔法使いでさえも封印を解除できなかったんだ。
 私たちが【遺産】を見つけてもどうにもならないかもしれない」
ミント
「じゃあ、あきらめるしかないの?」
クラウス
「そうでもないぞ、ミント君。
 実はまだまだ続きがあるんだ。
 【遺産】を探していたのは森の魔法使いだけではなかったのさ。
 彼の記録を読んでみよう。
 『わが魔力でエイオンの封印を解けぬなら、偉大な先人の力を借りるとしよう』
 『前時代の大魔導士エルロイも【遺産】の封印を解くべく、多くの弟子とともに、研究を行なっていたという』
 『エルロイのアトリエに行けば、彼の研究の成果が手に入るだろう。
 地下迷宮にさえ行けば……』
 『閉ざされた扉を開くカギはつくりあげた。
 あとは地下迷宮までたどりつき、その奥に隠された神秘を探るだけだ』」

 机の上のアイテムがアップになる。

クラウス
「そして、これがそのカギさ。
 このキーストーンがあれば、地下迷宮のアトリエに入れるはずだ。
 きっと【遺産】への大きな手がかりが見つかるに違いない」
ミント
「次の目的地は地下迷宮ってワケね!」
クラウス
「地下迷宮は、この街から半日ほど歩いたところにある。
 善は急げだ。さっそく出発しよう!」

 立ち上がるクラウス。しかし倒れこんでしまう。

クラウス
「あいたたたた……」
ミント
「あ〜あ、ムリしちゃって。
 まだ足のケガが治ってないんでしょ」
クラウス
「なんのこれしき。この程度の痛みで私の情熱を止められ歯しないぞ!」

 クラウス再び立ち上がる。が、またも倒れこむ。

クラウス
「いててて……」
ミント
「もう若くないんだから、家でおとなしくしてた方がいーわよ」
クラウス
「しかし……」
ミント
「地下迷宮へは、あたしが行ってくるわ。
 アトリエまで行って、めぼしいアイテムを取ってくればいいんでしょ?」
クラウス
「なんだって? 本当かい?
 それはありがたいが……いいのかね?
 あの地下迷宮はモンスターのすみかだ。
 私の研究のために、ミント君を危ない目にあわせるわけには……」
ミント
「そーいう細かいことは気にしないで。
 ここはドーンとあたしにまかせなさいって」
クラウス
「…………。
 わかった。ミント君に頼むとしよう。
 でも、ひとつだけ約束してくれ。
 かならず無事に戻ってくるんだ。いいね」
ミント
「へーきへーき 
 どんな危険な場所に行ってもあたしがやられたことはないわ。
 とにかく! 地下迷宮にはあたしがひとりで行くわ!」
クラウス
「ああ、お願いするよ」

 ミント、後ろを向いてガッツポーズ。

ミント
「ふっふっふっふっ……作戦成功ぉ!!
 あたしひとりで地下迷宮に行けば見つけたお宝は自動的にあたしのモノ 」
クラウス
「どうしたんだね、ミント君?
 悪だくみでもしているのかい?」

 ミント、びくっとして、

ミント
「ぎく!」
クラウス
「なにはともあれ、くれぐれも気をつけてくれよ」

クラウス
「おっ! そういえば……。
 森のアトリエでこんなものを見つけたんだ」
ミント
「へ? これ、もしかして……。
 新しい魔法じゃない!」
クラウス
「なるほど、やはりそうか……。
 ではこれはミント君にあげよう。
 私には使えないからね」

 赤の魔法をゲット!

 喜ぶミント。

ミント
「クラウスさん、ありがとっ 」


(操作パート)

(クラウスの部屋にて。以下クラウスの台詞)
「森のアトリエに住んでいた魔法使いはカドモンという名前だったらしい」
「地下迷宮の主は、大魔導士エルロイだ。
 500年ほど昔に、この地方一帯を支配していた人物だよ。
 古文書によると、カラクリじかけの人形を研究していたようだ」
「地下迷宮には危険なモンスターがたくさんいるらしい」
「そういえば、ルウ君の姿が見えないな……」


(めざせ! せかいせいふく おわり)



 デュープリズム シナリオ3

(ちかめいきゅうのワナ)

(場面 街→地下迷宮へ)

 迷宮の入り口でルウと会う。

ミント
「ん?
 アレは……」

 ルウに近づくミント。

ミント
「あんたは……えーっと」

(選択肢→誰だっけ?)

 肩をすくめるミント。

ミント
「誰だっけ?」
ルウ
「僕の名前はルウ。
 君と同じく【遺産】をさがしている」
ミント
「そーいえば、森で会ったっけ」(Aへ)

(選択肢→思い出した!)

 小さくジャンプするミント。

ミント
「思い出した!
 あんた、ルウって名前だったわね」

(A)

ミント
(クラウスさんと一緒に【遺産】を探してるヤツか……。
 よーするに、あたしのライバルね)

 手を振って尋ねるミント。

ミント
「で、なに?
 あたしになんか用?」
ルウ
「クラウスさんに聞いたんだ。
 ミント、君はたったひとりでここに入るつもりかい?」

 ミント、小さくガッツポーズ。

ミント
「まあ、そんなところよ」
(お宝ひとりじめのためにね!)

 入り口に歩み寄るルウ。

ルウ
「ひとりで行くなんて危険すぎるよ。
 ここはモンスターのすみかだ」
ミント
「そんなの、どーってことないわよ。
 ショボいモンスターが何匹出てこようとあたしの魔法でボコボコにしてやるわ!」
ルウ
「甘く見ないほうがいい。
 ここには森よりもずっと狂暴なモンスターが棲んでいるらしい。
 だから、僕も行く」

 ちょっとびっくりするミント。

ミント
「……へ?」
ルウ
「君だけを危険な目にあわせて楽をするなんてできないよ」
ミント
「なぬー!? あんた、ナニ言ってんの!?
 そんな余計なコトされたらあたしのお宝が……」

 ミントに近づくルウ。

ルウ
「遠慮なんかいらない。
 僕だって、自分の目的のために【遺産】を探しているんだ」
ミント
「いや〜……。
 別に遠慮してるわけじゃ……」
ルウ
「手分けしてさがせば、アトリエだってすぐに見つかる」

 再び入り口に向き直るルウ。

ルウ
「じゃあミント、僕は先に行ってる。
 アトリエで会おう!」
ミント
「ちょ、ちょっと!
 待ちなさいよ!」

 ミントの制止を無視して入り口からワープするルウ。

ミント
「あ……」

 へたれるミント。

ミント
「あたしのカンペキなお宝独占計画が……。
 はっ!!
 こーしちゃいられないわ!
 あいつより先にアトリエを見つけないと!」

 ミント、入り口からワープ。


(操作パート)

(場面、地下迷宮)

 ダンジョン奥でルウと会う。

ルウ
「おかしいな……。
 この洞窟、どこまで行っても似たような道が続いてる。
 ときどき滝の音が聞こえるんだ。
 どこかに滝があるみたいだね。
 ミントは滝を見つけたかい?」

(滝をたどると、さらに奥へ)

(足場を集めてさらに奥へ)

 大岩の前でルウが立往生している。

ルウ
「遅かったね、ミント」

 驚くミント。

ミント
「げっ! ルウ!?
 もうこんな奥まで!?」

ルウ
「この坂の下が、行き止まりになっているんだ。
 先に進む道を探して、いろいろ調べていたんだけど……。
 この岩、あやしいと思わないか?」

二人
「?」

 大岩が転がりだす。

 さっさとつぶされるルウ。

 やりすごすと壁が壊れる。

 気絶しているルウに話しかけると、

ルウ
「ううう……。
 クレア……」
ミント
「クレア?
 誰だろ?」

 ルウをさらに調べると、

 ブロンズコインをゲット!

 ミント、出口に辿り着くと、

ミント
「ルウ……あとはあたしにまかせてゆっくり休んでね」

 ミント、喜びのおどり。

ミント
「さ〜て、お宝お宝 」

(次の部屋へ)

ミント
「うっわ〜!
 ロコツにナニかありそうな場所ね」

(仕掛けを解いて次の階層へ)

(戦闘・対ドラゴンゾンビ)

(勝利後、さらに次の階層、エルロイのアトリエへ)

ミント
「こいつが大魔導士エルロイのアトリエってわけね。
 地底にこんな建物をつくるなんて、よっぽどヒマ人だったのね〜」

(動く床に乗り、アトリエへ)

ミント
「お宝  お宝 
 どこにあるかな〜 」

(アトリエでの台詞)

ミント
「ん? なんだろこれ。
 もらっとこう」(ティアラをゲット)
「おおっ!?
 見るからにお宝って感じだわ!」(キューブをゲット)

(探索後)

ミント
「これでそろったわね。
 そろそろ街に帰ろっかな」

 何も起こらない。、

ミント
「…………」

 ミント、動かない床にじだんだ。

 すると床が動きだす。

(場面、アトリエ下層)


「待ちな」

 立ち止まるミント。

 ミント、声の方に振り返り、

ミント
「その声は……。
 まさか、ベルぅ!?」

 ベルとデューク登場。

ベル
「ほ〜う?
 あたしを覚えているのかい?
 そいつは光栄だねえ」
ミント
「ひさしぶりね、ベル。
 最後にあったのは一年前だっけ?」
デューク
「ん?
 この小娘、あねさんのお知り合いですかい?」
ベル
「そうかい、デュークはミントと初対面だったっけね」

 ベル、ミントに歩み寄る。

ベル
「だったら教えてやるよ。
 あたしとミントの間に横たわる怒りと憎しみのドラマをね。
 そう、あれは忘れもしない1年前……」

(暗転。が、すぐに戻る)

 無視して帰ろうとするミント。

ベル
「……って帰るな!」

 ミント、ベルたちに向き直る。

ミント
「ちっ、バレたか」

 ベル、怒りに拳を震わせる。

ベル
「まったく、いちいち腹の立つ小娘だね!
 イラつくったらありゃしないよ!」

 デューク、ベルを制止する。

デューク
「あねさん、おさえておさえて!
 このデュークにまかせてください!
 こんなナマイキな小娘はすぐにおとなしくさせて【遺産】の手がかりをうばいます!」
ミント
「え〜っ!?
 あんたらも【遺産】を狙ってんの!?」

 デューク、ミントの正面に立つ。

デューク
「フッ、そんなところさ。
 おまえにうらみはないが、痛い目にあってもらうぜ」
ベル
「デュークの必殺技『なりきり』をじっくりたっぷり味わいな、小娘!」
ミント
「ナリキリだろーとハラキリだろーとどーでもいーわ!」

 ミント、リングをふりかざし、

ミント
「こんなヤツ、5秒で沈めてついでにあんたもボコボコよ、ベル!
 ふたりで地獄めぐりをさせてやるわ!」

 ミント、ガッツポーズをとり、

ミント
「このミント様をさしおいて【遺産】をゲットしようなんて100万年早いのよ、この年増!」

(BGMストップ、暗闇にベル沈む)

ベル
「とっ……」

(背景戻る)

デューク
「バッ、バカヤロウ!
 なんてこと言いやがるんだ!
 そりゃ、あねさんは四捨五入して30歳だが……」

 デュークを裏拳ではりたおすベル。

ベル
「やかましい!
 小娘が好き放題言ってくれるじゃないか」

 ベル、拳を震わせ、

ベル
「ミント……。
 地獄を見せてやるよ!」

(戦闘・対ベル)

(勝利後)

 倒れ伏すベル。

ベル
「しばらく見ない間に、少しは腕をあげたじゃないか」

 ベル、起き上がり、

ベル
「でもね……しょせんは小娘さ!」

 ベル、ティアラを取り出す。

ベル
「さ〜て、これはなんだろうね?」
ミント
「あ〜〜〜っ!!
 あたしのお宝!!」

 あわててベルにつっかかるミント。余裕でかわすベル。

ベル
「あはは!! スキだらけなんだよ!
 罰として、このティアラは没収だよ!」

 ベル、デュークに駆け寄る。

ベル
「いつまでひっくり返ってんだい!
 起きな!」

 顔を上げるデューク。

デューク
「あ……あれ、あねさん!?」
ベル
「ずらかるよ!」

 起き上がるデューク。

デューク
「へいっ!」

 浮遊床に乗って逃げる二人。とびはねるミント。

ミント
「返せっ!!
 お宝返せっ!!」

(上の階層へ)

(戦闘・対ドラゴンゾンビ)

ミント
「なぬ? また出たぁ!?」
ベル
「なんだか知らないけど今のうちに逃げるよ!」

 浮遊床で逃げるベルとデューク。

 階段を登って逃げるが、追い詰められるミント。

ミント
「ひ〜〜〜〜〜〜っ!!」

 ミントに襲いかかるドラゴンゾンビ。

 ルウがあらわれ、間一髪ドラゴンゾンビを倒す。

ルウ
「間に合ってよかった。
 ケガはない?」

 座り込むミント。

ミント
「あ……。
 ありがと……」

(暗転)


(場面、街へ)

(クラウス宅へ)

(以下、エレナの台詞)
「ミントさん、こんにちわ〜」
「ミントさんは、もうルウさんとおしゃべりしましたか?」
「お父さんが、部屋で待ってますよ 」

(クラウスの部屋へ)

クラウス
「ミント君! 無事に帰って来てくれたか!
 いやあ、よかったよかった」
ミント
「うーん……無事ってわけでもないのよね。
 実は……」

(しばし暗転)

クラウス
「なるほど。ベルとデュークという連中がティアラを盗んでいったのか」
ミント
「ほんっっと腹立つわ!
 今度会ったらシメてやるっ!」
クラウス
「まあまあ、そうカッカしないで。
 盗まれたものはいつか取り返せばいい。
 それまではこのキューブを研究しよう。
 ミント君が無事に帰ってきてくれただけで充分うれしいさ。
 早く君が帰ってこないかと首を長くして待っていたんだ。
 話したいこともあったしね」
ミント
「話したいこと?
 もしかして、なにか新しい情報?」
クラウス
「そうとも。
 私だって、ただ遊んでいたわけじゃない。
 ミント君が地下迷宮に行っている間に森のアトリエから持ってきた資料をじっくり調べなおしてみたんだ。
 そうしたら……。
 わかったんだよ!
 エイオンの【遺産】のありかが!」

 ミント、喜んで、

ミント
「ホント!?」
クラウス
「ああ、間違いない。【遺産】は私たちのすぐ近くにあったんだ!
 湖に浮かぶ湖水の遺跡にね!!」
ミント
「どこどこどこ!
 その遺跡ってどこにあるの?」
クラウス
「湖水の遺跡は、この街の近くにある大きな湖の中央に浮かんでいる。
 誰が遺跡なのか、まったく記録が残ってなくて、私もふしぎだったのだが、まさかエイオンの遺跡だったとは……」
ミント
「じゃあ、その遺跡の封印をぶっこわせば【遺産】が手に入っちゃうのね!?」
クラウス
「ああ、そうとも!
 そして……。
 このキューブは、湖水の遺跡の封印を解くためにつくられたものらしい」

 ミントにカメラがズーム。

ミント
「出発よ!」
クラウス
「え?」
ミント
「そのキューブがあれば【遺産】の封印を解けるんでしょ?
 だったら、もたもたしてないで今すぐ湖水の遺跡に出発よ!」

 カメラ、ミントを下から上へ映し、

ミント
「ああ……。
 ついに……ついにっっ!
 夢にまで見た【遺産】があたしのモノになるのね……」
クラウス
「いや、ダメだ」

 ミント派手にひっくりかえる。

クラウス
「まだ重大な問題が残っているからね」

 ミント、起き上がり、

ミント
「問題ぃ!? なによそれ」
クラウス
「たしかにキューブを使えば封印を解除できるだろう」
ミント
「ぜんぜん問題ないじゃない。
 キューブはここにあるんだから」
クラウス
「でも……このキューブをどうやって使うんだい?」
ミント
「あ」

 クラウス、椅子から立ち上がる。

クラウス
「見たまえ。取っ手もふたも説明書もないただの四角いカタマリだろう。
 こんなもの、どうやって使えばいいのかまるで見当がつかないんだよ」
ミント
「思いっきりぶっ叩いたら……。
 手の方がこわれそーね」
クラウス
「さて、どうしたものか……」
ミント
「サテもナニもないわ!
 【遺産】の場所をつきとめたし、封印を解くカギもここにあるのよ。
 なんとかしてキューブの使い方を調べる方法はないの?」

 やや間があって、

クラウス
「うーん……そうだなあ。
 あの人に頼めば、ひょっとしたらなんとかなるかもしれないが……。
 あの人だけは、どうも苦手だ。
 かかわりあいに、なりたくないな……」

 クラウス、少しの間後ろを向く。

ミント
「どーしたの、クラウスさん?
 あの人って誰?」
クラウス
「………………。
 魔導士メルという人物がいてね。
 森の向こうにアトリエをかまえて魔法の研究をしているんだが……。
 なんというか、常識をはずれたセンスの持ち主でね。お近づきになりたくない。
 他の人ならいざしらず、メルの頼むのは気が進まないんだよ」
ミント
「でも、そのメルって魔導士に頼めばキューブの使い方がわかるんでしょ?
 だったら行くしかないじゃない」
クラウス
「たしかにその通りなんだがね。
 だがミント君、ひとたびメルのアトリエに行けば、君も考えを変えると思うがなあ。
 『こんなところに来なければよかった!』ときっと後悔するぞ」
ミント
「そんなの行かなきゃわからないわよ。
 いーわ! あたしが行ってくる。
 【遺産】のためなら、どこへだって!」
クラウス
「……わかった。
 ミント君に甘えてばかりですまないが、今度もお願いするとしよう。
 メルのアトリエへの道を教えるよ。
 それと湖水の遺跡がある湖への道もね」

(しばし暗転)

クラウス
「ミント君、よろしく頼むよ」


(操作パート)

(以下、クラウスの台詞)
「一度だけメルのアトリエに行ったことがあるよ。
 恐ろしい場所だった。
 私はメルに会う前に逃げ出してしまったよ」
「メルのアトリエは、子供たちには人気があるんだがね……」
「魔導士メルは、まったく歳を取らないんだ。
 すごい魔力を持っているらしいね」
「ティアラのことは気にしなくていいよ。
 誰にだって失敗はある」

(クラウス宅、一階へ)

 エレナがお辞儀をしてミントに話しかける。

エレナ
「ミントさん、おつかれさまです〜。
 お仕事、はかどってますか?」
ミント
「ねえエレナ。メルって人、知ってる?
 これからその人のところに行くんだけど」
エレナ
「えーっと……メルさんって……。
 あっ! ファンシーさんのことですね!
 知ってますよ」
ミント
「…………ふぁんしぃ、さん???」
エレナ
「おもしろいところですよ。
 ミントさんも気に入ると思います 」
ミント
「どーいう場所なの?」

 エレナ、軽く目を閉じて、

エレナ
「それは見てのお楽しみです 」

(以下、エレナの台詞)
「ファンシー・メルさんのアトリエはとってもおもしろいところですよ〜」
「わたし、メルさんのアトリエによく遊びにいくんです 」
「お父さんは、どうしてメルさんのことをこわがってるんでしょ〜ね」

(ちかめいきゅうのワナ おわり)

 デュープリズム シナリオ4

(ファンシー・メル)

(クラウス宅→街→湖畔へ)

 ミントが湖水の遺跡を眺めている。

ミント
「あれが湖水の遺跡……。
 あそこに【遺産】があるのね」

 ミントお疲れポーズ。

ミント
「ナマイキな妹に国を追い出され、【遺産】を探し求めてはや2年……」

 ミント、とびはね回転ガッツポーズ。

ミント
「ついに! ここまで来たわ!
 んっふっふっふっふっふ……」

 遺跡に向かって手を突き出し、

ミント
「もーすぐ【遺産】を手に入れてこのミント様が世界を征服してやるわ!」

 ミント、じだんだ。

ミント
「待ってなさいよ、マヤ!
 そしたら、あんたは一生トイレ掃除よ!」

 ミントひたすらじだんだ。カメラ引いていく。

ミント
「マヤのばかやろ〜っ!
 どあほ〜っ!
 インケン!
 とんちき!」

 延々と続く。

(徐々にフェードアウト)

(湖畔→街→メルのアトリエへ)

(ファンシーな景色出現)

ミント
「な、なんて悪趣味な……。
 ファンシーにもほどがあるわね」

(アトリエ外周へ)

ミント
「アタマ痛くなってきた……。
 クラウスさんがイヤがるのもわかるわ」

 ミント、ドアをノック。

 ファンシーなノック音がする。

ミント
「なぬ!?」

 ミントもう一度ノック。もう一度ファンシー音。

ミント
「ミョ〜なしかけね。
 メルって人、どーいう神経してるんだろ?」

 ミント、ドアをひたすらノック。連打されるファンシー音。

ミント
「メル〜?
 留守なのー?」

「メルはおでかけしてるから、もうちょっと待つのだ〜。
 その間、ボクたちとあそぶのだ〜」

(小人とのミニゲーム後、メル帰ってくる)

 ミント、ドアをノック。

 後ろにメル登場。


「あら、お客さまかしら?」

 ミント後ろを向き、のけぞる。

ミント
(…………………………………………………。
 …………………………………………………。
 …………………………………………………。
 スゴイよ、この人……………………………)

 メル、ミントに近づき、ミント、びくりとする。

メル
「どうしたの、あなた?
 さっきから黙りこんじゃって。
 わたしの顔になにかついているのかしら」

 ミント、肩をすくめる。

ミント
「その……世の中には、いろいろな人がいるなー、と思って」
メル
「あら、それってどういう意味?」

 ミント、ぎっくぅ!

ミント
「なんでもないわ! こっちの話。
 もしかして、あなたがメル?」
メル
「ええ、わたしがメルです。
 ファンシー・メルと呼ぶ人もいるわね」
ミント
(…………そのまんまね)

(アトリエの中へ)

メル
「ふうん……あなたたちは湖水の遺跡の封印を解くつもりなのね」
ミント
「そーゆーこと。
 だからこのキューブの使い方を知りたいの」
メル
「やめておきなさい」
ミント
「へ?」
メル
「ミントといったわね。あなた、自分がなにに手を出そうとしているかわかってる?
 とてつもない魔力を秘めた【遺産】は決して子供のおもちゃじゃないわ。
 不用意にさわれば……」

 ミントのそばで小さく爆発。

メル
「ボン、よ!」
ミント
「うひゃあ!?」

 ミント倒れる。

 メル笑う。

メル
「あはは  おどろいた?」

 ミント、起き上がり、

ミント
「あ、あんたねえ!」
メル
「ごめんなさい。
 でもねぇ、ミント。あなたも魔法使いのはしくれなら知っているはずよ」
ミント
「はしくれってナニよ、はしくれって!」
メル
「あら、口がすべったようね。訂正するわ。
 一人前の魔法使いなら【遺産】の恐ろしさを知っているはずよ」
ミント
(なんか引っかかるわね)
メル
「【遺産】を手に入れようとして、逆に破滅した魔導士は何人もいるわ。
 それにね……湖水の遺跡をのこしたエイオンは……ヴァレンよ」
ミント
「へ? 誰それ?」
メル
「ヴァレンの名前も知らないの?
 困ったものね。
 いいわ、教えてあげる。
 エイオンたちの中でも最大最強の魔力を誇った至高の存在。
 それがヴァレンよ。
 指先ひとつで山脈を生み、星々のうごきをも変える力があったと伝えられているの」
ミント
「でも結局、他のエイオンともども滅びちゃったわけでしょ」
メル
「そうね。たしかにヴァレンは滅んだわ。
 その原因はわからないけれど、あまりに魔力が強すぎたせいで自滅したらしいわね」
ミント
「へー、そうなの?」
メル
「あなた……わかってるの?
 ヴァレンはそれほど危険な存在なのよ。
 そんなエイオンの【遺産】を解き放てば、どんなわざわいが起こるか想像もできないわ。
 へたをすれば……世界の破滅よ」
ミント
「世界の、破滅……。
 ヴァレンの【遺産】ってそんなに強力なの?」
メル
「間違いないわ。
 現存するすべての【遺産】の中でも最高の魔力を秘めているはずよ。
 ……あら、どうしたの?」

 カメラ、ミントを下から上へ映す。

ミント
「んふふふふふふふ……。
 最高の魔力……ステキじゃない!」
メル
「は?」

 ミント、ガッツポーズをとり、

ミント
「ヴァレンの【遺産】はぜっっったい手に入れてやるわ!」
メル
「あなた、わたしの話を聞いていたの?」
ミント
「ふっ、だいじょーぶ!
 心配ご無用ってやつよ。
 このミント様の目の黒いうちはヴァレンだろーとなんだろーと世界を滅ぼさせたりしないわよ!)

 ミント、後ろを向いておどる。

ミント
(だって、あたしが征服する世界だもんね〜)

 モケ鳥が回転突進してきてミント倒れ、すぐ起き上がる。

メル
「ふう…………。
 わたしがいくら言ってもムダのようね。
 あなたみたいなタイプは、痛い目を見るまで、あきらめそうにないわね」
ミント
「あたしを甘く見ないでくれる?
 ちょっと痛い目を見たぐらいであきらめるほどヤワじゃないわ!」

 メル、くすくす笑いつつ、

メル
「たいした自信ですこと……。
 わかったわ。そこまで言うなら【遺産】に手を出してごらんなさい。
 ほんとうに痛い目をみればいい薬になるでしょう」
ミント
「おっ!? ということは……」
メル
「ええ、協力しましょう。
 そのキューブを調べてあげるわ」
ミント
「おっ! 話わかるじゃな〜い 」
メル
「でもね、ひとつだけ条件があるわよ。
 あなたのお願いをきくかわりに、わたしのお願いもきいてほしいの。
 あなた、ポプルプルルの子たちと遊んだでしょう?」
ミント
「ポプルプルル……。
 ひょっとして、外にいる小人たちのこと?」
メル
「ええ。ポプルプルル人の子供たちよ。
 うちのおそうじやおせんたくを手伝ってくれる、かわいい4人組なの」
ミント
「4人組?
 さっきは3人しかいなかったよーな……」
メル
「それがねえ……あの子たちの仲間がひとりおつかいに出かけたまま行方不明なの。
 そう遠くへは行ってないと思うんだけど、心配で心配で……」
ミント
「あ〜、わかったわかった。
 その子を探してくればいいのね?」
メル
「あら、察しがいいじゃない。その通りよ。
 それがキューブ調査の条件。
 【遺産】を見つける、なんて言うんだからこれぐらいのお仕事は簡単でしょ?」

 ミント、ガッツポーズ。

ミント
「あったりまえでしょ。
 余裕よ、よ・ゆ・う」
メル
「迷子の子を見つけたらまた来てちょうだい。
 その頃には、キューブの調査も終わっていると思うわ」
ミント
「よろしく〜 
 ポプルプルル人のコトはまかせといて。
 ちゃっちゃとさがしておくわ!」

 ミント、小躍りしてアトリエ外周へ。


(操作パート)

(以下メルの台詞)
「迷子の子供は見つかったかしら?」
「キューブの解読なら、まかせてちょうだい。
 たぶん数時間で終わると思うわ」


(メルのアトリエ→街へ)

(クラウス宅にて)

(以下ミラの台詞)
「ゴロツキ兄弟の姿を見かけたわ。
 あの人たちが、エレナをいじめたのね……。
 いずれ、たっぷりこらしめてあげましょう」
「ゴロツキ兄弟は、森に行ったようね。
 ほうっておいたら、また誰かをいじめるかもしれないわね……」
「湖は見に行ってみた?
 とてもすてきな場所だから、一度行ってごらんなさい」

(以下クラウスの台詞)
「そうか……ポプルプルル人を探さなければならないのか。
 彼らは、じめじめした場所を嫌うから、地下や建物の中にはいないと思うよ」
「ポプルプルル人は、一種の妖精なんだ。
 人間と遊ぶのが大好きな、陽気な連中だが、人間の大人は好きではないらしい」
「メルのアトリエはどうだったね?
 いや、聞かなくてもわかるよ。
 恐ろしい場所だったろう」

(街→森→遺跡)


「ウヒョ〜!!」

 ゴロツキ兄弟がポプルプルル人をいじめている。

ミント
「この前のゴロツキどもじゃないの。
 あいかわらずヒマなやつらね〜」

 カメラ、ゴロツキたちに近づく。

ミント
「あれ?
 あのちっちゃいの、もしかして……」
ポプルプルル人
「わ〜ん! キタナイ手でさわられたら、よごれるのだ〜!」
ブラッド
「なにぃ!? 俺の手がきたねえだと!?
 そいつは聞き捨てならねえな。
 この俺のデリケートなハートがいたく傷つきやがったぜ。
 きっちりワビを入れてもらうぜ!」
ポプルプルル人
「キタナイものをキタナイを言ってなにがわるいのだ〜!!」
スモーキー
「ウヒョ〜! こいつナマイキっス!
 アニキにむかって失礼っス!!」

 ポプル、威嚇して、

ポプルプルル人
「やかましいのだ〜!」

 ブラッド、剣を振り回す。

ブラッド
「うるせえ、やかましいのはテメエだ!
 2度とナマイキな口をきけねえようにヒドイ目にあわせてやるぜ!」
スモーキー
「ウヒョ〜!
 なんか盛り上がってきたッス!
 やはり悪役はこうでなくちゃいけないっス!」

ミント
「そこまでよっ!」

 声と同時にスモーキー倒れる。

ブラッド
「なんでえ、せっかく盛り上がってきたのに邪魔しやがって……あーっ!」

 スモーキー起き上がる。

スモーキー
「あ、アニキ!?
 コイツ、この前の暴力女ですぜ!」
ミント
「なぬー!?」

 ミント高くジャンプしてスモーキーにかかと落とし。

ミント
「誰が暴力女だっ!」
ブラッド
「ああっ!? スモーキー!?
 おのれ……俺たちをコケにするとはいい度胸じゃねーか!」
ミント
「なによ、あたしケンカ売る気?
 あんたたちこそいい度胸ね。
 弱いものイジメしかできないくせに!」
ブラッド
「言わせておけば……。
 おい、起きろスモーキー!
 このナマイキな女をブッ倒すぞ!」 

 スモーキー、倒れたままで、

スモーキー
「う……ウッス……」

(戦闘・対ゴロツキ兄弟)

(ブラッドを先に倒した場合)

ブラッド
「チクショウ、またしても負けちまった……。
 しかたねえ、ずらかるぜスモーキー!」
スモーキー
「えっ!? ウヒョヒョ!?
 アニキ〜、待ってくれっス〜」

 逃げ出す二人。

(スモーキーを先に倒した場合)

スモーキー
「ウヒョロロロロ……。
 アニキ、またやられちまったっス……」
ブラッド
「情けねえぜスモーキー! 俺はおまえをそんなふうに育てた覚えはねえ!
 いいかスモーキー、帰ったら特訓だ!
 というわけで、俺は先に帰ってるぜ!」
スモーキー
「えっ!? ウヒョヒョ!?
 アニキ〜、待ってくれっス〜」

 逃げ出す二人。

(勝利後)

ポプルプルル人
「助かったのだ〜」

 ポプルがそばに来ている。

ミント
「だいじょーぶ?
 ヘンなことされてない?」

 しゃがみこんでポプルに視線を合わせるミント。

ポプルプルル人
「へ〜きなのだ〜」
ミント
「ファンシー・メルにたのまれてあんたをさがしてたのよ」

 ミント、立ち上がり、

ミント
「さ、おうちまで送るわよ。
 メルが心配してるわ」

 ポプル、ジャンプする。

ポプルプルル人
「だいじょ〜ぶなのだ〜。
 ひとりで帰れるのだ〜」

 帰ろうとするポプル。が、途中で止まって、

ポプルプルル人
「おまえ、名前はなんていうのだ〜?」
「ミントよ。この名前をよーく覚えておいて帰ったらメルに報告するのよ。
 『カワイクてカッコいいミント様が華麗なる魔法のワザで助けてくれた』
 って。わかった?」
ポプルプルル人
「うん、わかったのだ〜。
 ミント、ありがとうなのだ〜。
 それじゃ、バイバイなのだ〜」

 帰っていくポプル。

ミント
「もう日が暮れるわね……。
 とっとと街に帰ろっと」

 帰っていくミント。

(暗転)


(場面、街へ。夜になっている)

(ロッドと会話)

 焚火にあたっているロッド。

ロッド
「おう、ミントじゃねぇか。
 ファイヤーにでもあたっていくか?」

 ふたりで暖をとっている。

ミント
「ひとつ質問してもいい?」
ロッド
「なんだ?」
ミント
「あんたは、どーして武器をつくるの?」
ロッド
「…………。
 イージーな理由だ。
 オレ様は、ファーザーみてぇに歴史に名を刻む男になりてぇのさ」
ミント
「ファーザーって……。
 あんたのオヤジのこと?」
ロッド
「オレ様のファーザーは剣士でな。
 そりゃあ強かった。文句なしに世界最強の剣士だったぜ」

 立ち上がって焚火から離れるロッド。

ロッド
「生涯、何百回もバトルして一度も負けたことがなかった。
 そう……ファーザーはまさしく歴史に名を刻んだんだ」

 ロッド、振り返り、

ロッド
「剣豪プレスキンの名前ぐらいはおめぇも聞いたことがあるだろう?」

 ミント、立ち上がってロッドに駆け寄り、

ミント
「プレスキン!? 知ってるわ!
 天下無敵の剣士でしょ」
ロッド
「オレ様は、ファーザーに勝つために必死で剣のトレーニングをしたのさ。
 ファーザーに勝てば、オレ様は『剣豪プレスキンを倒した男』として歴史に名を刻めるからな」

 ロッド、再び後ろを向き、

ロッド
「だけどよ……。
 オレ様とバトルする前に、ファーザーは病気でぽっくり死んじまった……。
 オレ様は、ファーザーを越えることが永遠にできなくなっちまった……」
ミント
「…………」

 目を閉じるロッド

ロッド
「だからオレ様は、ファーザーとは違う道で歴史に名を刻むしかねぇのさ。
 ファーザーみてぇな、ただの剣士じゃねぇ。
 みずから最強の武器をクリエイトし、その武器で、自分の運命を切り開く男……」

 ロッド、首だけで振り返る。

ロッド
「そんな男として、歴史に名を刻みてぇのさ」
ミント
「ふーん……」

 ロッド、ミントに向き直る。

ロッド
「すまねぇ。ロングなトークになっちまった。
 おめぇは、明日のモーニングも早いんだろ。
 そろそろ宿でスリープしたほうがいいぜ」

 ミント、立ち上がって、

ミント
「そーね、そーするわ。
 おやすみ、ロッド」
ロッド
「おう」

 ミント、川辺を離れる。

(以下、ロッドの台詞)
「もう夜も遅い。早くスリープしねえと風邪をひいちまうぜ」

(街→宿へ)


(場面、なぜか東天王国の食堂)

 テーブルに所狭しと料理が並び、マヤが玉座についている。

マヤ
「お姉さま。
 そこのお皿を取ってくださるかしら」
ミント
「…………」
マヤ
「そのあと料理長に伝言をおねがいします。
 ケーキとババロアをあと5皿追加するように、と」
ミント
「…………」
マヤ
「それが終わったら、わたくしの肩をもんでもらいましょうか。
 それとも城じゅうのトイレをひとつ残らず掃除していただこうかしら?
 カボチャ畑の草むしりもいいですわね」
ドールマスター
「すべてやらせればよろしいでしょう」
マヤ
「あ〜ら、いい考えですわね。
 そうしましょう。
 ではお姉さま、よろしくおねがいしますね」
ミント
「…………」
マヤ
「お姉さま。
 返事はどうなさいました?」
ミント
「マヤ…………。
 あたしをコキ使って、そんなに楽しい?」

 マヤ玉座から立ち上がる。

マヤ
「あら、コキ使うだなんて人聞きの悪い。
 わたくしはお姉さまに正当な労働をあてがっているわけですわ」

 ミント激昂。

ミント
「正当な労働ですって!?
 あたしは王女なのよ!
 プリンセスなのよ!」
マヤ
「それは違うのではないかしら。
 お姉さまはプリンセスではなく、元・プリンセスですわ!」
ミント
「も……!
 元ってなによ、元って!!」
マヤ
「だってそうでしょう? お姉さまは王位を継ぐ資格を失ったんですから」

 マヤ高笑い。

マヤ
「もうプリンセスでもなんでもない、タダの一般庶民ですわ!
 ほ〜っほっほっほっほ!」
じいや
「納得してくだされ、元・姫さま」
ドールマスター
「現実は受け入れるべきですぞ、元・殿下!」

 ミント座り込んで絶望。

ミント
「ヒドい……ヒドすぎるわ!
 あたしがいったいなにをしたって言うの!?」
マヤ
「お姉さま、サボるのはそれぐらいにしてとっとと働いてくださいまし。
 時間がもったいのうございますわ。
 たわけた言いわけでごまかそうとするならこんなおしおきをお見舞いしますわよ」

 ミントに落下するカボチャ。

ミント
「ひいぃぃっ!?
 かっ、かかかかカボチャ!?」

 逃げるミント。

マヤ
「ほ〜っほっほっほっほ!
 いい気味ですわ  元・プリンセスさん!」

 さらに落下するカボチャ。

(暗転)

(場面、宿屋の一室)

 ベッドの上で半泣きのミント。

ミント
「またイヤな夢を見ちゃったわ……。
 ううっ、なんてかわいそうなあたし……」

 ミント、ベッドの上でじだんだ。

ミント
「き〜っ! ムカつく!!」

(暗転)

(ファンシー・メル おわり)



 デュープリズム シナリオ5

(ほしになったアイツ)

(朝。ミントがベッドから落ちている)

(宿屋→クラウス宅)

(以下エレナの台詞)
「えっ? もう小人さんを助けてあげたんですか?
 さっすがミントさん!」
「今度、ルウさんといっしょにお出かけするんです 」

(以下クラウスの台詞)
「ポプルプルル人が見つかったようだね。
 では、あとはメルのアトリエに行くだけだね」
「ポプルプルル人はゴロツキ兄弟につかまっていたのか……。
 あの兄弟、悪さばかりして困ったものだ」
「あのメルのことだ。もうキューブの解読を終えているんじゃないかな」
「古文書に、ミント君が地下迷宮で倒したガーディアンのことが書かれていたよ。
 大魔導士エルロイは、地底から掘り出した古代生物の骨に、彼の魔力を分け与えてアトリエを守るガーディアンにしたんだ。
 ガーディアンの残骸には、まだエルロイの魔力が残留している可能性が高いね。
 調べてみる価値はあると思うよ」

(街→メルのアトリエ)

 アトリエに入ったミントに、助けたポプルが走り寄る。

ポプルプルル人
「あっ! ミントなのだ〜。
 このまえは助かったのだ〜。
 おうちに帰れて、ボクはうれしいのだ〜」

 メルがミントに歩み寄る。

メル
「待っていたわ、ミント」

 メル、ポプルを覗き込み、

メル
「ちょっと外してもらえるかしら。
 ミントと大事な話があるの」
ポプルプルル人
「え〜!? せっかくミントが来てくれたのに……。
 でも、メルの言いつけだったらしかたないのだ〜!」
 ポプル、ミントを向いてジャンプする。

ポプルプルル人
「じゃあね、ミント!
 こんどいっしょに遊ぶのだ〜」

 ポプル帰る。

メル
「あの子を助けてくれてありがとう。
 わたしからもお礼を言うわ」

 ミントガッツポーズ。

ミント
「これで言いつけはクリアね!
 キューブを解読しといてくれた?」
メル
「せっかちねえ……」

 メル、ミントに歩み寄り、

メル
「安心なさい、キューブの調査はすませてあるわ。
 くわしいことはこれにまとめたから街にもどったらお読みなさい」

(メルのレポートをゲット!)

(キューブをゲット)

ミント
「よしっ!
 これでまた一歩【遺産】に近づいたわ!」
メル
「その話なんだけどね……」

 メル、所定の位置に戻る。

メル
「あなたに聞きたいことがあるのよ」
ミント
「なに?」
メル
「あなた、東天王国って国を知ってる?
 700年の歴史を誇る魔法使いの国よ。
 エイオンの【遺産】のひとつ、ブック・オブ・コスモスに守られてずいぶん栄えているそうね」
ミント
「ぎく!」
メル
「その東天王国の第一王女が、2年前に家出して、ずっと行方不明らしいわな。
 うわさによると、とてもわがままなお姫さまだったらしいわ。
 おめけに乱暴で、ぜいたく好きで、性格が悪くて、いつも悪だくみばかりしていたんですって。
 ……あらミント、どうしたの?」

 ↑の台詞の間、なにかがコケるような音が何度もしている。

 ミント、へろへろ。

ミント
「メル……あんた、どこでその話を?」
メル
「あら、けっこう有名なうわさ話よ。
 まだ続きがあるわ。
 わがまま姫が家出しても、東天王国の人たちは、誰ひとりとして心配していないそうよ。
 それにひきかえ、わがまま姫の妹のマヤという王女さまは、まじめな性格で全国民に尊敬されているというわ」

 みんと派手にコケて床につっぷしている。

メル
「まあミント、どうしてそんな大ダメージを受けているの?
 わたし、なにかおかしなことを言ったかしら」

 ミント、立直って、

ミント
「悪かったわね、あたしがその王女よ!
 暴れん坊王女でわがまま姫のミント様よ!」

 メル、くすくすと笑う

「まあ……ぜんっぜん気がつかなかったわ 」
ミント
(コイツ……最初から知ってたな!?)
メル
「まあ、冗談はこれぐらいにして。
 あなたに質問したいことがあるの」
ミント
「なによ」
メル
「あなた【遺産】を手に入れてどうするの?
 東天王国に帰って王女の座に戻るの?」

 ミント、髪をかきあげつつ、

ミント
「そんなに聞きたきゃ教えてあげるわ。
 このミント様の野望をね……。
 まず手始めに、東天王国に凱旋よ!
 そしてあたしをコケにしたマヤにキツ〜イおしおきをカマしてやるわね。
 湖水の遺跡にあるヴァレンの【遺産】はマヤのブック・オブ・コスモスよりずっと強力なんでしょ?
 だったら、マヤのやつなんか指先ひとつでボコボコね!」
メル
「ずいぶん小さな野望ねえ……」
ミント
「なに言ってんの、それで終わりじゃないわ。
 あたしの野望は、そこから始まるのよ!
 【遺産】の力でマヤをおとなしくさせたら、東天王国をシメてやるわ。それからこの大陸を支配して、最後には……」

 ミント、アップでガッツポーズ。

ミント
「全世界をあたしのものにするのよっ!!」
メル
「【遺産】で世界を征服するというわけ?」
ミント
「そうとも言うわね〜。
 どう? デッカイ野望でしょ」
メル
「しつこいようだけど、【遺産】を甘く見ないほうがいいわ。
 エイオンの……いいえ、ヴァレンの力は危険すぎるのよ。あれは破滅を招く力。
 へたに触れたら……」
ミント
「へーきへーき。
 世界の破滅なんて起こんないって!
 だって、あたしのものになる世界だもん」
メル
「…………よくわかったわ。
 わたしがどんなに警告しても、あなたは【遺産】をさがすでしょうね」
ミント
「なにがあっても【遺産】を見つける、って家出するときに決めたからね。
 だから最後まで絶対あきらめないわ!
 一度決めたことを途中で投げ出すのって大キライなのよね〜」
メル
「ふう……困ったものねえ」

 ノックの音がする。

メル
「あら?」

「すみませーん?
 メルさんはいらっしゃいますか?」
メル
「お客さまのようね。
 ミント、この話はいずれしましょう」

(以下メルの台詞)
「わたしの年齢?
 世の中には、聞いてはいけない質問もあるのよ」
「ここにアトリエを建ててもう何年になるのかしら……」

(アトリエ外周へ)

エレナ
「あっ!
 ミントさん、こんにちわ〜」
ルウ
「やあ」

 エレナ、ミントに歩み寄り、

エレナ
「ミントさん、ミントさん!!
 聞いてくださ〜い!
 ルウさんがスゴイんですよ!」
ミント
「はぁ? スゴイって、こいつのナニが?」
エレナ
「聞いたらミントさんもビックリしますよ!
 なんと、ルウさんはですね〜……」
ルウ
「エレナ。その話は、しばらくだまっていてくれないかな」

 ミントとエレナ、ルウを見る。

エレナ
「そ〜ですか? ……わかりました!
 ミントさんにはヒミツにしておきます〜」

 ミント、ルウにずかずか近づいて、

ミント
「なによ、それ!
 エレナには教えてもあたしにはダメだっていうの?」ルウ
「そういうわけじゃないけど、いろいろ事情があるから……。
 ごめん、ミント」

 ルウ、ミントとエレナを押し退けてアトリエへ。

ミント
「なんだろ、あいつ」

 ミント、エレナに向き直って、

ミント
「あれ? エレナは行かないの?」
エレナ
「わたしはルウさんの道案内だけです。
 もう帰ります〜」
ミント
「なら、街までいっしょに帰ろっか」
エレナ
「はいっ!
 ミントさん 」

 ミント、わるだくみな顔。

ミント
「ルウのヒミツ、聞いちゃおっかな〜」

(暗転)

(場面、アトリエへの道)

ミント
「ねえねえエレナ。
 ルウのヒミツって、いったいなんなのよ?」
エレナ
「ダメですよ、ミントさん。
 ルウさんと約束したからぜっっったいにひみつです!」
ミント
「そうカタいこと言わないでさ〜。
 教えてよ〜。ね? ね?」
エレナ
「じゃあ、ちょっとだけヒントです。
 ルウさんはですねえ……。
 『おたまがルウさんでルウさんがおたま。
 でもルウさんはおたまじゃない』んです 」
ミント
「なにそれ?
 ワケわかんないわよ。
 次のヒントは?」

 エレナ、走りだす。

エレナ
「ヒントはいっこだけで〜す」
ミント
「そんなこと言わないでさ〜」
エレナ
「あれ? 誰かいますよ〜?」

(エレナに近寄って話しかける。きぐるみのデュークがいる……)

(以下エレナの台詞)
「もしかしたら、空から落ちてきたお星さまかもしれませんよ 」
「お星さまには、顔があったんですね〜。
 わたし、知らなかったです」
「ぽよぽよしててやわらかそうですね〜」


(お星さまを無視してみると)

お星さま
「待てぃ!!」

ミント
「デューク……なにやってんの?」
デューク
「ほほうっっ!
 俺のカンペキな変装を一発で見やぶるとはな。
 なかなかやるじゃねえか」
ミント
「……ふつう見やぶるわよ。
 エレナだって、来るときにわかったでしょ?」
エレナ
「ぜんぜんわからなかったですぅ……」
ミント
「…………あんたって……」
デューク
「さーて、あいさつはここまでだ。
 本題に入らせてもらおうか。
 おまえが持っているキューブとファンシー・メルから受け取った情報を、おとなしくよこしな!
 イヤだと言ってもムダだからな。
 力づくでうばい取ってやるぜ!」

 ミント、肩をすくめる。

ミント
「あんた、鏡で自分を見てみたら?
 そんなとぼけた着ぐるみでイキがってんじゃないわよ!
 あんたこそ、この前盗んだあたしのティアラを返しなさいよ!」
デューク
「とぼけた着ぐるみ、か……。
 人を見た目で判断するなんて甘い! 甘すぎるぜミント!
 だが無理もねえ。おまえは俺の『なりきり』能力を知らないからな」
ミント
「『なりきり』ィ?」

 デューク、空を見上げて、

デューク
「フッ……男ってのはよ……。
 いつも星をめざすものなのさ。
 誇り高く輝く一番星。
 全力を出して燃えつきる流れ星。
 暗い夜の終わりを告げる明星。
 俺は男として星をめざし、そして今!
 完全に星になりきったッ!
 そう……たとえるなら、今の俺は夜空を駈けるひとすじの流れ星!」
ミント
「昼よ、今」
デューク
「細かいことは気にするなっ!
 見よっ!!」

 デューク、空高く舞い上がる。

ミント
「げっ!?
 と、飛んだぁぁ!?」
エレナ
「わ〜、キレイですね〜 」
デューク
「ハルマゲドンアタッ〜クぅ!」(←注・極小フォント)
ミント
「ん?
 エレナ、逃げて!」

 デューク、降ってくる。

 ミントとエレナかわし、、倒れたデュークとミント起き上がる。

デューク
「わははあはははははっ! どうだっ!
 これがスターライト・デュークの実力だっ!
 行くぜっ!!」

(戦闘・対お星さまデューク)

(戦闘開始時の台詞)
デューク
「光るぜ回るぜ輝くぜっ!!」

(勝利時の台詞)
デューク
「すたーっ!!」

 最後の力でメテオストライク攻撃。当たると大ダメージ。

(勝利後)

 うつぶせに引っ繰り返っているデューク。

デューク
「ぬうっ、俺としたことが……ぬかったぜ。
 まさに……巨星墜つ!」

 デューク起き上がり、そばにいたエレナがしりもちをつく。

ミント
「巨星でもなんでもいーわ。
 さっさとティアラを返しなさいよ」
デューク
「今日のところは引いてやる!
 次に会う日を楽しみにしてるぜ!」
ミント
「寝ぼけたこと言ってんじゃないわよ!
 とっととティアラを……」
デューク
「さらばだっ!
 わははははっ!」

 デューク、よちよち歩きの後、遥か彼方に飛び去る。

ミント
「あいつ……人間?」

 エレナがミントの隣に立って、

エレナ
「デュークさんってゆかいなお星さまですね〜」

 ミント、エレナを横目に見た後肩をすくめる。

(暗転)

(東天王国宮殿の廊下)

 サイコがドールの後ろに歩み寄る。

ドールマスター
「サイコマスターか。
 どうした」

 サイコ、お辞儀をひとつ。

サイコマスター
「ヴァレンの【遺産】に接触を試みる者が現われました」
ドールマスター
「そうか……で、何物だ?
 冒険者か? 盗掘師か?
 それとも愚かな魔術師か?」
サイコマスター
「それが……」

 サイコ、ドールの耳元でささやく。

 画面暗転し、ミントがアップになる。

ドールマスター
「ミント……殿下だと!?」

 元の宮殿へ。

ドールマスター
「くっくっくっくっく……。
 傑作だ、実に傑作だ!
 2年間も行方知れずでとうに野たれ死んだと思っていたが、あの小娘が【遺産】に手を出すとはな!」

 ドール、サイコを振り返り、

ドールマスター
「サイコマスター……。
 抜かりのないおまえのことだ。
 すでに手を打ったろうな?」
サイコマスター
「さきほど、あのふたりを発たせました。
 明朝にはカローナの街に到着するかと」
ドールマスター
「よろしい。しばらくは手を出さず監視だけにとどめるよう伝えよ。
 しかし……。
 この件が、マヤ殿下のお耳に入ったらさて、どうなることやら」
サイコマスター
「血の雨が降ることでしょうな」
ドールマスター
「そういうことだ。
 この一件、殿下には伏せておけ」

 ドール、歩きだす。

 サイコ、お辞儀をしてテレポート。

(暗転)

(場面、街へ)

(クラウス宅へ)

クラウス
「やあミント君。
 おつかれさま」
ミント
「ファンシー・メルにキューブの使い方を聞いてきたわ。
 くわしいことは、このレポートにまとめてあるってさ」
クラウス
「ほう! よしよし、さっそく読んでみよう!」

(しばし暗転)

クラウス
「ふむむ……なるほど!」
ミント
「読み終わったの?」

 クラウス、椅子から立ち上がる。

クラウス
「いや、まだ途中なんだがキューブの開け方が書いてあってね。
 さっそく開けてみようと思うんだ」

 キューブに近づくクラウスをミント、制止する。

ミント
「キューブを開ける?
 ってことは、この中にはなんか入ってるわけ?」
クラウス
「どうやらそういうことらしい。
 メルのレポートには『なにが出てくるか自分でたしかめなさい』とだけ書いてある。
 おそらくエイオンの封印を解除するアイテムが入っているんじゃないかな」

 クラウス、キューブをいじる。

クラウス
「ここをこうすれば開くはずなんだが……」

 キューブが輝き、ミントとクラウスあとずさる。

クラウス
「うわわっ!?
 おおぅ!?」

 金色の細長い八面体に、なにかが入っている

クラウス
「な、な、な、なんだ!?」

 輝きが消えて、小さな人形が降り立つ。

 人形、倒れてしまう。

クラウス
「なんということだ……。あんな小さなキューブに、人間が入っていたなんて……」

 ミント、人形のそばにしゃがみこんで、

ミント
「違うわ、この子の間接を見て。
 この子……つくりものなのよ」
クラウス
「なんて精巧な細工だ……。現代の技術ではとてもここまでのものはつくれないぞ」

「そうです」

 ルウが階段から降りてくる。

ルウ
「その子をつくったのは地下迷宮の大魔導士エルロイです。
 この子は、現代では失われてしまった高度な技術の結晶なんです」

 ルウ、しゃがみこんで、

ルウ
「湖水の遺跡にかけられたエイオンの封印を解除できるのはこの子……プリマドールだけです」
クラウス
「【遺産】に通じるただひとつのカギ、か。
 ということは、このプリマドール君の力を借りれば……」
ミント
「ついに【遺産】が手に入るのねっ 」

 ミント、クラウスに駆け寄る。

ミント
「クラウスさん! 湖水の遺跡に行こ!
 今行こ! すぐ行こ! さあ行こっ!」
ルウ
「まだ無理だよ、ミント」

 クラウスとミント、ルウに向き直る。

ミント
「どーして? このプリマドールって子が【遺産】の封印を解くカギなんでしょ」
ルウ
「この子はまだ未完成だから……。
 だから封印を解くことはできないし、目をさますこともない」
ミント
「……やーな予感がするんだけどさ。
 もしかしてプリマドールを完成させるには他になにかのアイテムがいるとか?」
ルウ
「よくわかったね」
ミント
「やっぱり……」
クラウス
「そのアイテムというのはどこにあるのだろうか?」
ルウ
「くわしくは、メルさんのレポートに書いてあると思います」

(しばし暗転)

クラウス
「この部分だな。『大魔導士エルロイは、弟子たちと共同で研究をしていた』
 『プリマドールを完成させるアイテムは、弟子たちのアトリエに隠されている。
 どこに何があるかというと……』
 『封印されたゴーストテンプルのアトリエには、ひと組みずつのガントレットとソラレットがある』
 『河をはるかにさかのぼったガムル樹海のアトリエにはイヤリングが隠されている』
 『最後のひとつアミュレットは特殊な鉱物ファインマイトから自分たちで作ること』……以上だ。」
ミント
「へ!? まだそんなにアイテムがいるの?」

 ミント、立ち上がって、

ミント
「も〜! 大魔導士エルロイってのはどーしてそんなややこしーコトを……」
クラウス
「まあまあ、ミント君。集める以外に道はないんだ。しかたあるまい」
ミント
「わかってるけどさ〜。
 ゴーストテンプルとガムル樹海の両方に行くなんてさ〜……。
 それにファインマイトってモノもさがさなきゃいけないんでしょ。
 あ〜……メンドくさ」

 椅子から立ち上がるルウ。

ルウ
「だから僕も手伝うよ」
ミント
「へ?」
ルウ
「僕がゴーストテンプル。
 ミントがガムル樹海。
 手わけしてさがしたほうがずっと早い」
ミント
「そりゃそうだけど……」
ルウ
「そっちのほうが安全だよ。
 【遺産】をさがしているのは僕らだけじゃない。
 ティアラを盗んだベルとデュークもきっと【遺産】を狙っている。
 だから、あいつらが手を出してくる前に別行動してアイテムを集めたほうがいい」
クラウス
「なるほど、それはいい考えだ。
 なあミント君?」

 ミント、後ろを向いて段差に腰掛ける。

ミント
「ヤ」
クラウス
「なんだって!? そりゃまたどうして!?」
ミント
「だって、あたしのわけまえが減っちゃうじゃない!」
 ミント、拳を握り締めて、

ミント
「どーしても手伝いたい、って言うならお宝のわけまえはあたしとあんたで9対1!
 どう? これでもまだ手伝う気がある?」
クラウス
「おいおい、そんな無茶なことを言っては……」
ルウ
「わかった。それでいいよ」
ミント
「へ?」
ルウ
「僕が【遺産】をさがすのはお金のためじゃない。
 お金や宝物なんかいらないんだ。
 【遺産】を手に入れてから一度だけ使わせてくれればいい。
 あとはクラウスさんとミントが自由にしていいよ」

 ミント、のけぞる。

ミント
「あ…………そ、そーなんだ」
ルウ
「その条件でいいかい」

 ミント、ルウとクラウスを交互に見て、

ミント
「ま、まあね」

 ルウ、ミントに歩み寄る。

ルウ
「ありがとう。
 それじゃ、僕はゴーストテンプルに行ってくる。
 ミントはガムル樹海で、イヤリングをさがしてくれないか」

 ルウ、階段を駈け上がっていく。

ミント
「行っちゃった……」
ミント
「感心しないなあ、ミント君。
 あんな無茶なことを言うのはよくない」
ミント
「ちょっと困らせてやるつもりだったのよ。
 まさか、あんな条件でハイって言うなんて思ってなかったわ」

 ミント、階段を登りかける。

ミント
「それにしてもフシギね。
 お宝もお金もいらないなんて……。
 あいつ、どーして【遺産】を探してるんだろ?」

(暗転)

(以下クラウスの台詞)
クラウス
「ガムル樹海は、ガムル族と呼ばれる種族のなわばりなんだ。
 ガムル族は、ふだんはおとなしいんだが、一度でも攻撃すると、一族全員でしつこく襲いかかってくるらしい」
「樹海のアトリエに住んでいたのは呪法師ギネマだ。
 昔はガムル樹海を支配していたらしいが、いつのまにか姿を消してしまったんだ。
 彼の身になにがあったんだろう」
「ルウ君はゴーストテンプルに向ったよ。
 あそこは恐ろしい場所だよ。
 メルのアトリエとは違う意味でね」
「ガムル族は、ポプルプルル人と仲が悪いという話だよ」
「ミント君がガムル樹海に行く間に私はアミュレットのことを調べておこう」

(ほしになったアイツ 終わり)


 デュープリズム シナリオ6

(かわをわかのぼって)

(クラウス宅→街)

 街の出口でミラに呼び止められる

ミラ
「行ってらっしゃい、ミントちゃん」
 今度はどこに出かけるの?」
ミント
「ガムル樹海に行ってくるわ。
 呪法師ギネマのアトリエがあるんだって」
ミラ
「ガムル樹海まで、歩いていくつもり?
 1週間はかかるわよ」
ミント
「なぬ!?
 い……1週間ん!?」
ミラ
「手こぎ船で河をさかのぼってもたっぷり3日は必要ね」

 ミント脱力。

ミント
「ったく、なんでそんな遠いところにアトリエを建てるのよ……」
ミラ
「がっくりするのは早いわよ。
 わたしに心当たりがあるわ」
ミント
「へ?」
ミラ
「街外れの草原にいるロッド君がボートを持っていたはずよ。
 ロッド君、『世界一早い』って自慢さてたわ。
 彼に頼んでみたらどうかしら」
ミント
「世界一!? ロコツにウサンくさいわね。
 でも、他に手段はなさそうだし……。
 頼んでみよっかな」

(以下ミラの台詞)
「ロッド君なら、街外れの草原にいるはずよ」
「ルウ君なら、もうゴーストテンプルに向かったわよ」
「ガムル樹海に行くならロッド君のボートを借りるといいわ」

(街→川原へ)

 寝転がっているロッドに話しかける。

ロッド
「おう、ミントじゃねぇか。
 オレ様とバトルしに来たのか?」
ミント
「ねえロッド、あんたに頼みがあるのよ。
 話、聞いてくれない?」
ロッド
「ほ〜う……。
 OK、話してみな。
 ヒマつぶしにはなるだろう」

(しばし暗転)

 ジョニーがカメラに吠えたりしてる。

ロッド
「OK! 話はわかった。オレ様のヘルプを借りてガムル樹海へ行きてぇんだな。
 目のつけどころがグッドだぜ。
 オレ様のグレートマシンならあっという間にたどりつけるぜ」

 ロッド、体を起こす。

ロッド
「だがよ……ミント。
 いくらおめぇの頼みでも、タダでヘルプするわけにはいかねぇんだ。
 オレ様がなにを言いたいのかわかるだろう、おめぇなら」
ミント
「あんたのことだから、どーせアレでしょ?」
ロッド
「おう、アレだ」
ミント
「イヤな予感がしてたのよね〜。
 レッツ・バトルね!!」
ロッド
「よ〜くわかってるじゃねぇか!
 その通りさ! ヘルプするもしねぇもバトルで決めよう、ってことさ。
 OK! 今回は大サービスだ。
 ファイトマネーなしでバトルしてやるぜ!」
ミント
「あたしが勝ったらあんたのボートを貸してもらうわよ」
ロッド
「違うぜ、ミント。オレ様のマシンはただのボートなんかじゃねぇ」
ミント
「ボートじゃない?
 だったらなんなのよ?」
ロッド
「オレ様に勝てたら教えてやるさ。
 かかってきな!」

(しばし暗転)

 対峙するふたり。

ミント
「悪いけど、あたしの魔法でボコボコに……」

 ミントびっくり。

ミント
「なぬ!?」

 ロッド、でかい斧(?)をかまえている。

ロッド
「カモン、ミント!
 おめぇの熱いソウルを見せてみなッ!!」
ミント
「なによ、そのヘンな武器は!?」
ロッド
「オレ様の最新作さ!
 その名もゴールドゲイルッ!
 行くぜ、ミント!」

(戦闘・対ロッド)

(敗北後)

 ミント座り込んでいる。

ロッド
「残念だったな、おめぇの負けだ。
 あきらめてもらうしかねえな」

 ミント、立ち上がって、

ミント
「もう1回! もう1回バトルしよ!」

 ロッド、後ろを向いて、

ロッド
「そいつはかわねぇけどよ。
 ファイトマネーを100Gいただくぜ」
ミント
「ええっ!?」
ロッド
「悪ぃが、オレ様にも生活ってものがあるからな」
ミント
「ちぇっ、ケチ!」

(挑戦が二度目の場合)

 対峙するふたり。

ロッド
「カモン、ミント!
 オレ様は絶対に負けねぇぜ!
 ジョニー・ウルフが応援してるからな!」

(戦闘・対ロッド)

(さらに敗北)

 ミント、座り込んでいる。そばにはジョニーがいる。

ミント
「ま、また負けた……」
ロッド
「どうやら何度バトルしても結果は同じみてぇだな」

 ミント元気に立ち上がる。

ミント
「そんなことないわよ!
 もう1回バトルしよ!
 このあたしに秘められた真の力を見せてあげるわ!」ロッド
「ノーサンキューだ。
 勝負が見えてるバトルなんかじゃオレ様のソウルは燃えねぇのさ。
 すっぱりあきらめて別の方法を探しな」

「ロッド君!」

 ミラがやってくる。

 ロッド、ミラに駆け寄る。


ミント
「へ? ミラさんが……マダム?」

 ロッド、ミラにひざまずく。

ロッド
「どうしました、マダム!?
 オレ様になにかご用ですか?」
ミラ
「なにかご用、ですって?」
ロッド
「どどど、どうしたんですか!?
 ご機嫌ななめみてぇですが……」
ミラ
「そうよ、ご機嫌ななめよ。
 大の男が、女の子を困らせているんだから」
ロッド
「大の男が……ってマダム!?
 そいつはまさか……。
 オレ様のこと!?」
ミラ
「他に誰がいるのかしら。
 そうよ、ロッド君のことよ。
 ミントちゃんが必死で頼んでいるのに力を貸してあげないなんてずいぶん心がせまいんじゃない?」
ロッド
「オレ様のハートがせまい!?
 違いますよ、マダム!
 これは公正なバトルの結果で……」
ミラ
「言い訳なんて男らしくないわよ」
ミント
「……ふたりって、知りあいなの?」
ミラ
「そんなところね。ロッド君はお金がなくなると、うちに夕食を食べにくるの」
ミント
「ずーずーしーやつね……」
ロッド
「マダムの料理は世界一だぜ。
 マダム、この恩はかならず返します!」
ミラ
「そうね……。
 じゃあ、今返してもらおうかしら」
ロッド
「は!?」

 ミラにこにこ。

ミラ
「ミントちゃんに協力してあげてちょうだい」
ロッド
「ですがマダム、ミントはオレ様に負けたわけで……」
ミラ
「だから力を貸さないの?」
ミント
「心がせまいわね〜」
ロッド
「おめぇが言うな!」
ミラ
「どうなの、ロッド君。
 わたしのお願い、聞いてくれるかしら」
ロッド
「うぐ……」

 ロッド膝を上げる。

ロッド
「しかたねぇ!」

 ロッドとミント、視線を合わせて、

ロッド
「おいミント! マダムに免じて今回だけはヘルプしてやる!
 いいな、今回だけだからな!」
ミント
「おっ! 悪いわね〜」
ミラ
「わたしからもお礼を言うわ。
 おわびに、ごちそうするから許してちょうだいね」
ロッド
「おわびなんて、とんでもない!
 これぐらいのことはベリーイージーです。
 なにかあったら、いつでもオレ様に言って下さい!」ミラ
「ありがとう、ロッド君」

 ミラ、ミントを見て、

ミラ
「これでガムル樹海に行けるわね。
 途中でおなかが空くでしょうからお弁当を作っておくわ」
ミント
「おおっ 
 ナイス!」
ミラ
「もちろん、ロッド君の分もね」

 ロッド再びミラにひざまずく。

ロッド
「おお……!
 マダム、感謝します!」
ミラ
「じゃ、ロッド君。
 ミントちゃんをよろしくね」

 ミラ去っていく。

ロッド
「オレ様はマシンをスタンバイしておく。
 しばらく時間をつぶしてきな。
 それから……」

 ロッド、ミントから離れる。

ミント
「なに?」
ロッド
「オレ様が、マダムに頭が上がらないことはトップシークレットにしてくれよ」

 ミント、肩をすくめる。

(暗転)

(準備中ロッドの台詞)
「さっさと、準備してきな」

(勝利後)

 へたばりロッド。

ミント
「あたしの魔法にかかればざっとこんなもんよ 」

 ミント喜びポーズ。

ロッド
「オレ様がおくれを取るとはな……。
 やるじゃねぇか、ミント。
 おめぇの勝ちだ。
 約束どおり樹海に連れてってやる」
ミント
「ホント!?」

 ミント再び喜びポーズ。

ロッド
「おうよ。
 ロッド・ザ・ブレードスターに二言はねえ!
 マシンをスタンバイしておくからしばらく時間をつぶしてきな」

(暗転)

(準備完了)

 川にはスカタン号が浮かべられている。

ロッド
「遅かったじゃねえか。
 オレ様のマシンはとっくにスタンバイOKだぜ」
ミント
「これが……あんたのボート?」
ロッド
「ボートだぁ?
 おいおいおいおい、そんなダセぇ呼び方はノーサンキューだぜ。
 こいつはボートなんかじゃねぇ。
 教えてやるぜ!」

 ロッド派手な手振り。

 台詞ごとにボートがさまざまな角度から映される。

ロッド
「これがオレ様の愛機ッ!
 『スカーレット・タイフーン・エクセレントガンマ』だッ!!
 世界にたったひとつのグレートマシン……。
 こいつのスピードには誰にもおいつけやしねぇぜ!!」
ミント
「すかーれっと・たいふーん???
 ムダに長ったらしい名前ね。
 スカタン号でいーわよ」

 怒るロッド。

ロッド
「勝手に省略するんじゃねえ!
 そんなセンスのねえニックネームはノーサンキューだぜ。
 ちゃんと『スカーレット・タイフーン・エクセレントガンマ』って呼びな!」
ミント
(センスがないのはどっちだか……)
「ま、スカタン号でもスカポン号でもどーでもいいけどね」
ロッド
「よくねぇっ!
 こいつのビューティフルさがわからねぇとは……。
 センスのねぇやつだがまあ、しかたねぇ」
ロッド
「見てのとおり、マシンはスタンバイOKだぜ。
 今すぐガムル樹海に行くか?」

(選択肢→あとにする)

ミント
「まだ準備ができてないのよ。
 もうちょっと待ってくれる?」
ロッド
「だったら急いで用意してきな!」

(話しかけるのが二度目以降の場合)

ロッド
「いつでも出発できるぜ、ミント!」

(選択肢→出発する)

ミント
「よしっ! さっさと出発しましょ!」

「ミントちゃん!」

 ミラ登場。ミント駆け寄る。

ミラ
「お弁当を持ってきたわよ」
ミント
「うわぉ!
 おいしそ〜!!」
ミラ
「ロッド君とふたりで仲良く食べるのよ」

 ロッドもやってきてひざまずく。

ロッド
「マダムのグレートな料理を熱いソウルで食わせていただきます!」
ミラ
「おおげさねえ」
ミラ
「じゃあミントちゃん、気をつけてね」

(しばし暗転)

 スカタン号の乗り込むふたり。

ミント
「これ、なんの音?」
ロッド
「古代文明が生み出した魔法機関ソーサルドライブってヤツよ。
 5つのカノンオーブからパワーをしぼりだしてオレ様のマシンを動かすんだ。
 くゥ〜っ……このハーモニー、何度聴いてもふるえが来るぜ。
 カノンオーブ熱量増大!
 ソーサルドライブ出力上昇!
 OKだ! いつでもイケるぜ!」
ミント
「よ〜っし!
 スカタン号、出発進行〜!!」
ロッド
「だから勝手に略すんじゃねぇ!
 『スカーレット・タイフーン・エクセレントガンマ』……発進!!」
ミラ
「行ってらっしゃ〜い」

 走りだすスカタン号。

(暗転)

(場面、疾走するスカタン号)

ロッド
「どうでぇ!!
 オレ様のグレートマシンのスピードはよ!」
ミント
「…………」
「スカーレット・タイフーン……。
 『緋色の暴風』って名前の意味がわかったろ!」
ミント
「…………」
ロッド
「なんでぇ、さっきからヤケに静かだな。
 速すぎてビビっちまったのか?」
ミント
「……………………。
 おっ、このミートボールはなかなかイケるわね」
ロッド
「おめぇ……人が操縦してんのに弁当食ってんのか!」ミント
「カタいこと言うんじゃないわよ。
 景色はキレイだし、お弁当はおいしーし、最高の気分なんだから 
 とゆーわけで操縦がんばってちょーだい」
ロッド
「……たのむから、オレ様のぶんも残しといてくれよ」
ミント
「さ〜て、お次のメニューは……。
 げ! カボチャの煮物!?
 ロッド、このカボチャあんたにあげるわ。
 そのかわり、あんたのぶんのミートボールもらっとくから」
ロッド
「ふざけんなコラ!」

(暗転)

(場面、樹海入り口へ)

 食休み中のロッド。

ロッド
「グレートな弁当だったぜ……。
 オレ様は世界中をトラベルしたが、あんなにうめぇ弁当は食ったことがねぇ」
ミント
「あ〜、おいしかった 
 腹ごしらえもすんだし、そろそろ出発しようかな」

 樹海の中に走りかけて、ロッドを向くミント。

ミント
「ロッド、あんたはここで待ってて」

 ミント、ガッツポーズをとりつつ、

ミント
「ちゃちゃっとイヤリングを見つけてもどってくるからさ」
ロッド
「OKだ。急がねぇでいいぜ」

 ロッド、寝転がりつつ、

ロッド
「オレ様はアフタヌーン・スリーピングとシャレこむからな。
 あの弁当のおかげで、スイートなドリームを見れそうだぜ……」

 目を閉じるロッド。

ミント
「じゃあ、ゆっくり昼寝しててちょーだい。
 行ってくるね〜」

 樹海の奥へ行くミント。

(場面、アトリエ跡へ)

 ミントがアトリエへやってくると、すでに建物は全壊している。

ミント
「なぬー!?」

 ミント、きょろきょろして、

ミント
「アトリエが、ぶっこわれてる……」

 ミント、さらにあたりを見回して、

ミント
「こんなところにイヤリングがあるのかな〜?
 調べるしかないか。
 う〜……めんどくさ」

(風車を調べたときのミントの台詞)
「なんだろ、これ?
 風車……かな?」

(すみっこに落ちてる本を調べるとイベント開始)

 ミント、しゃがみこむ。

ミント
「なんだろ、この本?
 呪法師ギネマの日記かな?
 なになに……。『わしはイヤリングを絶対に安全な場所にかくした』」

 喜ぶミント。

ミント
「おおっ  いきなり重大情報!
 いったいどこにかくしたのかな?
 え^っと続きは……。
 『わしのイヤリングはアトリエを守るガーディアンの体の中にかくされている!』
 『いかなる敵が訪れようともわが無敵のガーディアンを倒してイヤリングを奪うことなどできない』
 『すばらしいアイディアだ。わし、天才!』」

 リングを回すミント。

ミント
「お宝はガーディアンの体内か。
 そいつって、どこにいるんだろ?
 書いてあるかな……。
 『なんということだ!
 暴走したガーディアンがアトリエをこわして脱走した!』
 『アトリエはこわれ、イヤリングもなくなってしまった。
 わしの長年の研究はパァだ!』
 『こうなったのも、ガーディアンにイヤリングをかくすなどというバカげたアイディアのせいだ』
 『バカバカ、わしのバカ!』
 こいつ……アホね」

(日記を読み終わる)

ミント
「脱走したガーディアンがイヤリングを持っているのか……。
 う〜ん……どこにいるんだろ?
 道はここで行き止まりだし……」

 突然炎が飛んできて、それをかわしたミントは派手にコケる。

ミント
「んげ!?」

「あ〜はっはっは!
 ブザマだねえ!!」

 ミント、起き上がってじだんだ。

ミント
「その下品な笑い声は……ベルね!」
ベル
「誰が下品だっ!!」

 互いに歩み寄り、睨み合うふたり。

ミント
「よくもやってくれたわね!!
 いきなり魔法で不意うちなんて!」
ベル
「今の魔法はあいさつがわりさ。
 ガサツなあんたにゃピッタリだろう?」
ミント
「あいさつでもなんでもいーわ!
 あたしの前に姿を見せたのが運のつきよ。
 ボコボコにしてやるから覚悟しなさい!」

 ベル高笑い。

ベル
「それはこっちのセリフだよ!。
 ボコボコにされるのはおまえの方さ!
 ……とっておきの秘密兵器でね!」

 ベル、天に手をかざす。

ベル
「おいで、ヘクサゴン!!」

 ヘクサゴン登場。風圧でミント吹き飛ぶ。
ミント
「うひゃあ!?」
ベル
「とうっ」

 ヘクサゴンに乗るベル。

ミント
「ど、土ナベのオバケ!?」
ベル
「大サンゴ海の遺跡で掘り出した古代の魔法兵器さね!!
 このヘクサゴンに弱点はないよ!」
ミント
「ってことは、乗ってるあんたが弱点ね」

 ベルのけぞって、

ベル
「うっ!?
 そ、そうとも言うわね……」

 ミントガッツポーズ。

ミント
「ヘクサゴンだかなんだか知らないけどあんたを集中攻撃すればいいだけよ!」
ベル
「はっ! そう簡単にやられるもんかい!
 いくよっ!」

(戦闘・対ベル&ヘクサゴン)

ベル
「ヘクサゴンに弱点はないよっ!」

(勝利後)

 停止しているヘクサゴン。ベルが起き上がる。

ベル
「やるじゃないかミント……でも勝負はこれからだよ!」
ミント
「とどめっ!」

 ミント問答無用で飛び蹴り。

ベル
「うわぁ!?」

 吹っ飛ぶベル。そのまま動かなくなる。

ミント
「こんな土ナベであたしに勝とうなんて100万年早いのよね〜」

 ミント、小躍りして、

ミント
「さ〜て、とっ。
 邪魔者も片づけたし、先に進む方法を考えよっと 」

 ベルを調べると、

ベル
「うぐぐ……借金が……」
ミント
「ベルのやつ、なにか持ってないかな〜。
 おおっ!?
 いいもの持ってるじゃない 」

(緑の魔法をゲット!)

(風車を調べたときのミントの台詞)
「この風車……。
 ロコツにあやしーわ。
 こーいうモノにはヒミツがあるのよね〜」
「この風車を回したらきっと……。
 何が起こるんだろ?
 さっぱりわかんないわ。
 まあ、回してみればはっきりするわね!」
「こんなデッカイ風車を、いちいち手で回すなんて時間のムダよね。
 あたしの魔法で回せないかな?」
「考えてるだけじゃ、なにも起こらないわね!
 とりあえず魔法をぶちこんでみよーかな」

(風の魔法を撃つとリフトが出現)

ミント
「な〜るほど。
 こいつに乗っていくわけね。
 お宝ちゃん  待っててね〜 」

 あがっていくリフト。

(場面、樹海のダンジョンへ)

(場面、ダンジョン終盤)

ミント
「はあ……つかれた〜。
 ったく、ガーディアンはどこにいるのよ!」

 ミント、リングを振り回す。

ミント
「こら〜っ! ガーディアンっ!
 かくれてもムダよ!」

 ミント、じだんだ。

ミント
「おとなしく出てきなさいっ!」

「ひえええええっ!?」
ミント
「あれ?」

 ベルがガムル族に追い掛けられてくる。

ベル
「しつこいんだよっ!」

 ベル、炎を放ってガムル族を一掃する。

ベル
「ふう……死ぬかと思ったよ」

 ベル、ミントに向き直る。

ベル
「やっと追いついたよ!
 これでやっと決着をつけられるね、ミント!」
ミント
「へ〜、あんなにボコボコにされたのにまだこりてないってわけね!
 いーわ! やってやろうじゃない!
 かかってきなさいっ!!」

 魔法を発動しようとするふたり。

 不意に止めるミント。

ミント
「あ。
 ベル……バトルはあとにしない?」
ベル
「おじけづいたのかい。
 笑わせるね!」
ミント
「だって……あっちの方が大変なことになってるよ」

 ミント、後ろを指差す。


ベル
「なんだい、そりゃ?」

 ガムル族がやってくる。

 あたりが振動している……。

ベル
「げっ!?
 またかっ!!」

 そばのリフトに飛び乗る二人。

うわなんだいなんだい
 

 リフトが途中で落ちる。

(暗転)

 画面が真っ暗闇。

ミント
「ぎえ!?」

 ミントがしゃがみこんでいる。

ミント
「いででででで……」

 ベルが降ってきて、ミントにぶつかる。

ミント
「んぎゃ!?」
ベル・ミント
「ううう……」

 どうにか起き上がるふたり。

ベル
「あ痛たたた……。
 ひ、ヒドイ目にあったよ……」
ミント
「どこ、ここ……?」
ベル
「天国じゃないことはたしかだよ。
 あんたが行くのは地獄に決まってるからね」
ミント
「なぬ!? 天国に縁がないのはあんたの方でしょ!」ベル
「…………………………。
 それだけ憎まれ口をたたく元気があるならまだ死んでないみたいだね」
ミント
「あったりまえじゃない!」

 ミント、ガッツポーズ。

ミント
「【遺産】で世界征服するまではくたばりやしないわよ!!」

 倒れこむミント。

ミント
「いで!
 あ、足が……」
ベル
「やれやれ……。
 見せてみな」

 ミントに近づくベル。

ベル
「ねんざしてるじゃないか。
 なさけないね。受け身も取れないのかい」
ミント
「あんたがあたしを下じきにしたからよ!!」
ベル
「たしかにそうかもしれにね。
 だったら、こうしてやるよっ!」

 魔法を放つベル。

 逃げ出そうとするミント。

ミント
「ひぃ!?
 ちょ、ちょっと待っ……」

 ミントに魔法が当たる。

ミント
「うひ!?」

 ミントぶったおれる。

 ミント立ち上がってじだんだ。

ミント
「な、なにすんのよ!
 危ないじゃない!」
ベル
「痛みはどうだい」
ミント
「へ?」

 ミント、軽くジャンプ。

ミント
「あれ? 痛くない!?
 ベル……あんた……」
ベル
「誤解すんじゃないよ!
 あたしの目の前でピーピー泣かれたらうっとうしいから治してやっただけさ!」

 ベルに背を向けるミント。

ミント
「ふんっ! こっちだって礼なんか言わないからねっ!」
ミント
「で、ミント。
 これからどうする?」
ミント
「決まってるでしょ。
 ガーディアンを見つけてイヤリングをゲットよ!」
ベル
「なら、ボサっとしてないでさっさとガーディアンをさがすんだね」
ミント
「言われなくたってわかってるわよ!」

 ミント、びくっとする。

ミント
「!?」

 ミント、あとずさり。

ベル
「なにやってるんだい?」
ミント
「ベル……さがす手間、はぶけたみたいよ」
ベル
「いきなりどうしたのさ?
 さっぱりわからないよ」
ミント
「え〜っと……。
 うしろ」

 ミント、ベルの後ろを指す。

ベル
「は?」

 ガーディアンがベルの後ろにいる。

 ベル仰天。

ベル
「ぎええええええ!?!?!?
 なんだいなんだいなんだい!?
 ここここここのデカブツは!?」
ミント
「たぶん、こいつがガーディアンよっ!」

 ガーディアン、攻撃動作。

ベル
「なにかしかけてくるよ!
 ミント、気をつけな!」

 ベル、ガーディアンの口に吸い込まれてしまう。

ミント
「あ」

擬音
「ゴクン」

(戦闘・対クラウドホエール)

(勝利後)

 ミント勝利ポーズ。

ミント
「おっ!?
 これはもしや……。
 やっぱり!
 イヤリングだっ 」

 ミント、イヤリングにしゃがみこむ。

 ミント、喜ぶ。

(イヤリングをゲット!)

ミント
「あ! ベルは!?」

 ガーディアンの口からベルが吐き出される。

ベル
「はぁ、はぁ、はぁ……。
 もうイヤだよ、こんな生活……」

 ベル、ばったりと倒れる。

 ベルに駆け寄るミント。

ミント
「ベル……だいじょうぶ?」

 ミント、ベルを調べる。

ミント
「気絶してる……。
 どーしようかな……今ベルを起こしたら『イヤリングをよこせ!』って言いそーだし。
 ベルのことだから、ほっといてもだいじょうぶよね、きっと。
 ロッドも待ってるし、とっとと帰ろっと 」

 ミント走り去る。

(暗転)

(場面、宿屋の一室)

 ベルがドアを開けてやってくる。

デューク
「あねさん!」

 ベル、ベッドに腰掛ける。

ベル
「ふう……。
 えらい目にあっちまったよ」
デューク
「なにがあったんですかい?」

 デューク、一歩ベルから離れる。

デューク
「……ん? あねさんの体からヘンなニオイがしますぜ!?」

 ベッドから立ち上がるベル。

ベル
「しかたないだろ!
 どでかいサカナのエサになりかけたんだよ!」
デューク
「え、エサぁ!?
 そいつはまたとんだ災難で……」

 ベル、いらだたしげに腕を振り回す。

ベル
「まだ体がベタベタするよ。
 お宝ゲットは失敗するし、腹が立つったらありゃしない!
 デューク、あんたはどうだった?
 ちゃーんとお宝を取ってきたんだろうね」

 デューク、ベルに背を向ける。

デューク
「それが……俺もしくじっちまいまして。
 ルウの野郎がしゃしゃり出てきて……」
ベル
「なんだってぇ!?」

 ベルの怒鳴り声でデューク倒れる。ベルに集中線。

ベル
「なにやってんだいこのトンチキ!
 うまくやれって命令したろうに!」
デューク
「あねさんも失敗したんだからおあいこじゃないですか」

 ベルフック。デューク吹っ飛ぶ。

 ドアがノックされ、そのままドアごしに会話。

ソーリン
「失礼します」
ベル
「とりこみ中だよ、後にしておくれ!」
ソーリン
「ですが……お客さまの宿泊料金について大事なお話がございまして」
ベル
「う!」
ソーリン
「かなりの料金が未払いになっております。
 お早めに、お支払いおねがいたいのですが」
ベル
「あら……まあ……そんなにツケがたまってるのかい?」
ソーリン
「できるだけ早く、お支払いを」
ベル
「明後日には、いや明日には払うよ!
 だから今日のところはカンベンしてくれないかねえ……」

 やや間があって、

ソーリン
「よろしくお願いします」

 ベル耳をそばだてて、ソーリンが行ったかを確認する。

ベル
「聞いたかい、デューク。
 あたしらのサイフは大ピンチなんだよ!
 【遺産】をゲットして大金持ちにならないとあたしらは宿なしになっちまう!
 さっさと起きて、ヘクサゴンを修理しな!」

 起き上がるデューク。

デューク
「へ、へいっ!」
ベル
「ふふふふふ……見てなさい、ミント!
 次こそはじっくるたっぷりいたぶってやるわ!」

(暗転)

(場面、川原へ)

 スカタン号から降りるミントとロッド。

ミント
「運転ごくろーさん!
 また、なにかあったらスカタン号を貸してね」

 ロッド怒る。

ロッド
「だからスカタンって言うんじゃねぇ!
 『スカーレット・タイフーン・エクセレント・ガンマ』だっ!」

 ミント、肩をすくめて、

ミント
「細かいコトを気にするわね〜」

(以下ロッドの台詞)
「マダムによろしく伝えてくれ。
 グレートな弁当だった、ってな」
「久々にマシンを操縦して肩がこっちまった。
 アフタヌーン・スリーピングとシャレこむか……」
「あとでまたバトルしに来いよ。
 ジョニー・ウルフといっしょに待ってるぜ」

(場面、街へ)

(トラップマスターが立っている)

ミント
(見かけない顔ね。
 誰だろ?)

 いきなりインネンつけてくるトラップ。

トラップマスター
「テメエ、な〜にジロジロ見てやがんだよ!
 ケンカ売ってんのかコラ! 殺すぞコラ!」

 ミント、むかっ!

ミント
「なによあんた!
 ふざけたイチャモンつけないでよね!
 ケンカの大安売りはそっちでしょーが!」

 ミント、リングを振り回して戦闘態勢。

ミント
「そんなにケンカしたかったらいつでも受けて立つわよ!」
トラップマスター
「へッ、すぐにカッカとムキになりやがる。
 これだから困るぜ、ガキンチョはよォ!」
ミント
「ガキンチョぉ!?
 あんたの方が、よっぽどガキくさい顔してんじゃないの!」
トラップマスター
「そーやってメラメラ来てるところがガキンチョだって言ってんだよ!
 テメエの性格ぐらいわかっとけ、タコ!」

 ミント、超じだんだ。

ミント
「やかましいっ!!」

 ミント、魔法発動ポーズ。

ミント
「なぬ!?」 

 トラップマスター、いつのまにか消えている。

トラップマスター
「オレはガキンチョの相手をするほどヒマじゃねーんだ」

 トラップ、離れた場所から喋っている。

トラップマスター
「テメエのツラも声も態度も、なにもかもスゲエ不愉快だが、今日は見逃してやる。
 カミサマに感謝感激しとけ!」
ミント
「なによ、さんざんデカイ口たたいといて逃げる気なの!?」
トラップマスター
「逃げる……だぁ?」

 トラップ激昂。

トラップマスター
「ざっけんじゃねェ!!
 イイ気にノボセてんじゃねーぞコラ!
 テメエなんざ、オレがその気になりゃ5秒でギタギタのゲドゲドのズタボロだ!」
ミント
「口先だけなら、なんだって言えるしね〜。
 あんたがそんなに強いかどーか、今すぐ試してあげよーか?」
トラップマスター
「いずれ、だ。
 いずれかならずケリをつけてやる」
ミント
「いずれっていつよ」
トラップマスター
「そんなのテメエの知ったこっちゃねーよ。
 だが今日じゃねーことはたしかだぜ。
 今日はテメエのツラを拝みに来ただけだ。
 ……それと、みやげを届けにな」
ミント
「みやげ?」
トラップマスター
「その店に入れば、すぐにわかるぜ!
 じゃーな!」
ミント
「うひゃ!?」

 トラップ、炎とともに消える。

 ミントコケるがすぐに起き上がる。

 ミントやさぐれ顔。

ミント
「なによ! あいつ!
 みやげって、なんだろ?
 ……まさか!?」

(場面、クラウス宅へ)

 ミントがあわててい家に来る。

ミント
「エレナ!」

 エレナがお辞儀をする。

エレナ
「あっ! ミントさん 
 おかえりなさ〜い」
ミント
「…………」

 ドアが閉まる。

ミント
「……ただいま。
 あたしの留守中に変わったことはなかった?」
エレナ
「なにもないですよ?
 さっき、変わった髪型のお客さんが来ただけです 」
ミント
「そっか……よかった……」
エレナ
「どうかしたんですか〜?」
ミント
「なんでもないわ、こっちの話。
 それより……」

 ミントが一歩踏み出すと、突然カボチャが降ってくる!(劇的なカメラアングルで)

 ミント頭にカボチャを食らってぶったおれる。

ミント
「んげ!!」

 ミント、起き上がってカボチャを見るなりすごいスピードで壁まであとずさる。

ミント
「ひぃっっっ……!!
 か、かかかかカボチャ!?」

 エレナ、カボチャに近づく。

エレナ
「うわ〜、おっきなカボチャですねえ 
 ミントさん、これっておみやげですかぁ?」
ミント
「誰がカボチャなんてみやげにするかっ!」
(もしかして、あいつが言ってた『みやげ』ってコレのこと!?)
「あんにゃろ〜……。
 あたしに挑戦しようってワケね!
 このミント様のスペシャルなアタマによりによってカボチャをぶっつけるとは!!」

 ミントガッツポーズ。

ミント
「ぜったい許さんっ!」

 もう一個カボチャがミントの頭に降ってくる。

ミント
「んが!?」

 またもや倒れるミント。

エレナ
「ミントさん、なにあばれてるんですか?」
ミント
「うぎぎぎ……。
 一度ならず二度までも!
 あいつ、次に会ったら地獄めぐりさせてやる!」

(イベント後のエレナの台詞)
「おみやげのカボチャは、お母さんに料理してもらいます 」
「今日の夕食はカボチャづくしです〜。
 ミントさんも、どうですか?」



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