みたいな



 目が覚めた。
 どうにも意識がはっきりしない。
 ここはどうやら俺の部屋(のようなもの)らしい。「ごはん食べちゃいなさい」という声が聞こえる。家族(だろう)が俺を呼んでいる。仕方がないのでひとまず部屋を出て一階(階数に確信は持てないが)へ向かった。居間(家具及び他の部屋との面積の比較により推定)には男が一人(頭部の毛髪類の濃度から判断)と女が一人(骨格及び脂肪の分布により判断)いて、食物(毒を食ったりはしないだろう)を口に運んでいる。俺がどうしたらいいのか途方に暮れていると、「早く食べちゃいなさい」と女(推定)が俺の席(視線及びゼスチュアにより判断)にさっさと行けと促す。ぼんやりとした意識のまま椅子(四つ足だし)に座って俺の食事(食器の配置により判断)を眺めているとどうやら食欲が出てきたので、俺の箸(余ってたから俺のだろう)を使って食い始めた。米を水道水で炊いたもの(水分含有率及び感触及びカルキ臭により推定)を試しに二口食って、納豆(匂いにより確信)を米を水道水で炊いたものにかけ(男と女の行動を模倣)たところで、男が初めて口を開いた。
「おい、醤油取ってくれ」
 言った後、屁(臭いにより確信)をした。
 俺はキレた。
 椅子を蹴り飛ばし食器(例外なく食物が入っている)を全て男に投げつけ、テーブル(四つ足でかつ面積が広い)を気合とともに持ち上げると男の頭(胃である可能性も捨てきれない)に振り下ろし(ずがん!)、まだ息があったので(痙攣していた)俺はふところからバール(のようなもの)を取り出して男を滅多打ちにした。合計三十四発殴った(誤差は三回以内だと思う)。男は動かなくなった。女が金切り声を上げてうるさいので、これもバール(のようなもの)で殴って殺した。ふと気がつくと食物が床(フローリング及び高度により判断)に散乱しており(三秒は余裕で経過している)、もったいなくて俺は死にたくなった(どれほど真剣なものかは不明)。死ぬ前にお百姓さんに感謝しなくてはいけないと思い立ち、俺は泣きながら床に散乱した食物を食い尽くした。食中毒(下痢及びそれに付随する肛門疾患を総合したものを指す)にかかったら嫌だなあと思った。



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